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「洋菓子SNS」も 顧客囲い込みへ導入相次ぐ

» 2005年11月25日 19時44分 公開
[岡田有花,ITmedia]

 企業がSNS(ソーシャルネットワーキングサイト)を運営し、自社のファンを囲い込もうという動きが目立ってきた。洋菓子メーカーのモンテールは、ゴールネットが構築したSNSツール「SNS-Pro」をこのほど導入し、SNS「スイーツ探検隊」を構築。顧客とのコミュニケーションに生かそうと取り組んでいる。

photo スイーツ探検隊のユーザートップページ

 今年8月に「mixi」が100万ユーザーを突破。総務省は2007年にSNSユーザーが1000万人を超えると予測するなどSNS市場拡大への期待が高まる中、自社サイトにSNSを導入する企業が増えてきた。

 ペット用品販売に力を入れるトイザらス・ドット・コム ジャパンは、愛犬家向けSNS「BEAT-kun」と提携。オタク向けアニメ製作などを行うハイビジョンはアキバ系専用SNS「Filn」を構築した。ゴールネットも、モンテールに加え、プロスポーツチームや書評サイトなど7サイトにSNSを導入する契約を結んだといい、「今夏以降、引き合いが特に強くなってきた」と同社の杉山剛太社長は話す。

 mixiやGREEなど巨大SNSとは異なり、ある分野に特化した小規模なSNSは、深い議論ができる場としてニーズが高まっていくと杉山社長は見ている。

まずはファンを囲い込む

 モンテールは、シュークリームやエクレアなどを、スーパーや生協、コンビニに販売するメーカー。顧客から直接意見を聞く機会が少ないため、Webサイトやメールマガジン、ブログで顧客の意見を吸い上げてきた。SNSなら、顧客とさらに密接なコミュニケーションを取れると考え、導入を決めたと、同社の鈴木智也総務部長は話す。

 同社サイトのメール会員など、もともと同社ファンだった顧客にSNSを案内。導入1カ月半で600人以上のユーザーを集めたという。「SNSは、活発に利用する“インフルエンサー”の存在が重要。彼らを囲い込むことができれば、順調にユーザーを増やせる」とゴールネットの杉山社長は話し、スイーツ探検隊はインフルエンサーの囲い込みに成功したと自信を見せる。

 今後は、サークル(コミュニティー)で顧客の意見を吸い上げたり、アンケートを行って新商品開発に生かすといった活用を考えている。

失敗するSNSとその理由

 企業のSNS導入が加速する一方、「GAMOW」や「FriendMap」など、開始から1年前後で閉鎖を余儀なくされたSNSも少なくない。「日本には100以上のSNSがあるが、活性化しているのはほんのひと握り」(杉山社長)

 杉山社長によると、SNSがうまくいかない理由は4つある。(1)多機能すぎて初心者には難しい、(2)楽しみ方が分かりづらい、(3)SNS内に友人が少ない、(4)企業に運営ノウハウがない――だ。

 SNS-Proは、機能を日記、サークル、アルバムの3つに絞って分かりやすくしたのが売り。ユーザーが慣れてくるに従って、機能を付け加えていくという。

 初心者向けに、楽しみ方を解説するページも作成。ユーザー企業のSNSにはゴールネットのスタッフも参加し、友人のいない新規メンバーを友人登録するなどして活性化を助ける。同社が今夏開設した女性向けSNS「SNSジネコ」で培った運営ノウハウを、ユーザー企業のSNSにも投入していくとしている。

 同社は、導入に時間と費用がかかることもSNS普及のハードルになっていると分析。パッケージ化されたSNS-Proなら2週間で導入でき、初期費用が約600万円(サーバ代別)、月額費用が15万円から利用できるメリットを武器に売り込んでいく。

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