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Intel、XScaleなど通信チップから撤退か

» 2006年06月06日 11時18分 公開
[John G. Spooner,eWEEK]
eWEEK

 米Intelが2つの通信プロセッサラインを売却し、通信チップ事業の大半から撤退すると報じられている。

 San Jose Mercury News紙は、IntelがXScaleプロセッサラインとIXPネットワークプロセッサラインで構成されるパッケージの買収者候補を探していると伝えている。

 XScaleはPalmなどの携帯機器に採用されていることで最も知られている。XScaleをベースとするIXPラインはネットワークルータやセキュリティアプライアンスなどの機器向けチップを提供する。

 Intelの広報担当者はこの報道に関するコメントを控えた。

 Intelが一部事業からの撤退を考えているとしても、それは意外なことではない。ここ数四半期にわたって冴えない業績を報告している同社は4月27日、より機敏な企業へ転じるために、広範な戦略的見直しを開始したと発表した。

 Intelのポール・オッテリーニCEO(最高経営責任者)はこのとき、見直しは徹底的に行うと語り、社内部門の再編、売却、閉鎖の可能性もあるとほのめかした。同社は特に、赤字が出ている部門に注目していると同氏は示唆していた。

 この戦略的見直しは既に、フラッシュメモリ部門再編などの動きにつながっている。

 これによりNOR型フラッシュメモリに関連する製造、研究開発、製品サポートはフラッシュメモリ事業部のNORフラッシュ製品部門に統合された。

 しかしこの見直しは多くの憶測も生んだ。さまざまな報道で、Intelがフラッシュメモリ事業をスピンオフするのではないか、PCプロセッサ事業に再びフォーカスするために大規模なレイオフを行うのではないかと伝えられている。

 Intelの広報担当者は憶測へのコメントはしないとしている。

 しかしオッテリーニ氏はアナリスト向け説明会で、単なる大規模レイオフは単純すぎると語っていた。

 同氏は人員削減の案もないわけではないと示唆しつつも、まずはもっと包括的な見方が必要だと述べた。

 Mercury Newsの記事は、Intelが通信事業のほかの分野も適性と思われる価格で売却すると示唆したと伝えている。

 もしもIntelがXScaleとIXPラインを売却したら、かつて通信市場に大きな足掛かりを得るための大胆な取り組みだった事業からまた一歩遠ざかることになる。

 Intelは1998年からこの取り組みを強化するための買収を続けた。

 同社は通信機器向けチップの主要サプライヤーとなるために、100億ドル以上を費やして35社以上を買収した。

 同社はこれまで一部の通信市場――携帯電話で広く使われているフラッシュメモリや、多数のCentrinoブランドノートPCに搭載されるワイヤレスモジュール――では順調にやってきたが、もっと広範な通信分野では不調だった。取り組みの多くは業績に寄与するどころか赤字を出している。

 ほとんどのIT企業と同様に、Intelは2001年に同時に起きた不景気とPC・通信市場の不況の影響を受けた。

 しかしこの不況の後に、IntelはWebホスティング事業のIntel Online Servicesなど幾つかの部門を閉鎖し、買収した資産の多くを売却した。

 LANDeskソフト部門などのスピンオフに加えて買収した通信事業の幾つかから撤退することで、同社は中核であるPCプロセッサ事業に再度集中しようとした。

 同社は7月に、継続的な戦略見直しの最初の大きな進捗報告を行うとしている。

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