ITmedia NEWS > 製品動向 >

ハイビジョン化が加速するホームビデオカメラ

» 2006年07月19日 21時58分 公開
[ITmedia]

 ソニーは家庭用ビデオカメラのハイビジョン(HD)化を加速する。記録媒体にDVDとHDDを採用した新機種2製品を今秋に投入。売れ行きが好調なテープ型と合わせてHD録画需要を開拓し、年末には国内販売台数の半分をHD機種にするのが目標だ。

photo 都内で開かれた新製品発表会で

 7月19日に発表した新製品は、記録媒体に8センチDVDを使う「HDR-UX1」(9月10日発売)と、30GバイトHDD内蔵の「HDR-SR1」(10月10日発売)。

 DVDやHDDにHD映像を効率よく記録するために松下電器産業と共同策定した新規格「AVCHD」規格に対応し、それぞれ1080iのハイビジョン品質で撮影が可能だ(関連記事参照)。それぞれオープン価格で、実売予想価格はHDR-UX1が17万円前後、HDR-SR1が18万円前後。

 DVテープにHD映像を記録する「HDV」に対応した「HDR-HC3」(3月発売)と合わせ、テープ、DVD、HDDと記録媒体ごとに3機種のHDラインアップがそろう。同社の中川裕・デジタルイメージング事業本部長は「HD化をフルスイングでおし進める」と話し、かき入れ時の運動会シーズンに向けてテレビCMなどのプロモーションを強化していく。

photophoto ビデオカメラのHDD化・DVD化も進んでいる(右)

 国内ビデオカメラ市場は2003年には173万台だったが、今年は145万台にまで落ち込むと同社は予測している。需要のメインが子どもの成長記録という事情もあり、少子化の進展で「将来は厳しい市場」(ソニーマーケティングの鹿野清常務)だ。

 だが出荷金額はピークからは落ち込んだものの、今年は1220億円と前年と同程度に落ち着くと見ている。DVカメラは低価格化が進んだが、HDV方式のHDR-HC3は普及機種の倍以上という実売価格ながら販売ランキングの上位。高画質なハイビジョンという付加価値が単価上昇に貢献し、台数ベースでは縮小しても金額では市場規模を保てるというわけだ。

 同社の予測では、HDDレコーダーのHD対応機種の割合(台数ベース)は、年内には非HD機種を逆転する見通し。11月にはAVCHD規格と親和性が高いBlu-ray Discドライブ搭載の「PlayStation 3」が発売され、地上デジタル放送の普及でテレビのHD化も進む。HD再生環境は整いつつある。

 同社ビデオカメラ販売台数のうち、HD機種が占める割合は2005年度で30%。記録媒体の多様化に対応した新製品の投入で、これを年末には50%に引き上げたい考えだ。中川事業本部長は「一度ハイビジョン品質で撮影すると、普通のビデオには二度と戻れなくなってしまう。ソニーの『ハンディカム』もそれだけの力を持っている」と自信を見せている。

photo

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.