ITmedia NEWS > 企業・業界動向 >

Lenovo、AMD搭載のデスクトップPCシリーズを発表

» 2006年08月08日 16時49分 公開
[John G. Spooner,eWEEK]
eWEEK

 中国のPCメーカーLenovo Groupによれば、同社の企業顧客はより多くの選択肢を望んでいるという。そこで同社は、米AMD製プロセッサを搭載したマシンを提供する計画だ。

 予想されたとおり、Lenovoは8月8日、大規模企業向けの新しいデスクトップPCシリーズ「ThinkCentre A60」を発表する。このシリーズでは、AMDのAthlonプロセッサとSempronプロセッサが提供される。

 Lenovoは米国の中規模/大規模企業向けにThinkCentre A60デスクトップを設計した。ビジネスPC市場では長い間Intelプロセッサが独占状態にあるが、Lenovoによれば、最近のビジネスPCユーザーはプロセッサメーカーの選択肢が提供されることを望んでいるという。

 そのため、Lenovoはまず新たにAMD搭載システムを提供し、追って、Intelプロセッサ搭載バージョンを同じA60シリーズとして提供する方針だ。

 Lenovoのグローバルデスクトップマーケティング担当のエグゼクティブディレクター、トーマス・トーブル氏は取材に応じ、次のように語っている。「当社の顧客の多くは、企業向けデスクトップPCでもっと選択肢が増えることを望んでいた。なかには、サーバにAMDプロセッサを採用している顧客もいる。そのため、顧客からは“Lenovoの企業向けデスクトップPCラインでは、いつごろAMD搭載バージョンが提供されるのか”という質問をよく受けた。顧客は選択肢に対し、非常に関心を抱いている」

 ThinkCentre A60の価格はAMD Sempron搭載モデルが379ドルから、Athlon 64搭載モデルが519ドルからとなり、ミニタワー型か小型デスクトップとして提供される。またThinkCentre A60では、トラブルの生じたソフトウェアを含むPCを修復するためのRescue and Recoveryツールや、ユーザーのデータと個人設定をPC間で移動させるためのSystem Migration Assistantなど、ThinkVantageツール群が提供される。

 これまで中国の消費者向けと大規模企業向け、および海外の中小規模企業(SMB)向けにAMDプロセッサ搭載PCを販売してきたLenovoにとって、ThinkCentre A60は幾つかの意味で「初めて」の製品となる。A60はAMDプロセッサを搭載する初めてのThinkシリーズとなるほか、Lenovoが最近北京で結成したデスクトップ部門がリリースする初めての製品でもある。

 従って、Lenovoはこのマシンに大きな期待を寄せており、同製品を競争的な価格と機能で提供する方針という。

 「われわれはA60シリーズにより、当社製品のリーチを広げ、新しい顧客層を開拓できるものと期待している」とトーブル氏。同氏は現在、北京で新しいデスクトップPCチームの調整役を担っている。

 このチームのメンバーはノースカロライナ州ローリーと北京に分かれて配属され、現在、LenovoのデスクトップPCプラットフォームの合理化に取り組んでいる。その作業の多くは、幾つかのPCラインを3つの基本的ポートフォリオにまとめるというものだ。3つのポートフォリオのうち1つは大規模企業向けのThinkCentreシリーズ、1つはLenovo 3000ラインで構成されるSMB向けのシリーズ、残り1つは中国の消費者市場に照準したシリーズとなる。

 今後リリースされる同社の新モデルは、この3つのポートフォリオのうちいずれか1つをベースとしたものになる。こうしたポートフォリオにより、各タイプのPCでマザーボードなどのコンポーネントを共有できることになる。

 「この新チームからラインアップ統合後の初の製品を提供できて、A60のリリースのタイミングは完璧だった。メカニカルな要素が少ない方が、効率も高められる。一連の取り組みがすべて大きな意味を持っている」とトーブル氏。

 ThinkCentre A60のターゲットは正式には中規模/大規模企業とされているが、Lenovoは当初、SMBにもA60を提供する計画だ。同社のデスクトップPCは現在過渡期にあり、同社は2005年10月にリリースしたThinkCentre Eシリーズを段階的に打ち切り、一方では、新しいLenovo 3000シリーズのターゲットをSMB市場に据えている。

 また、いずれはThinkCentre A60シリーズでもIntelプロセッサ搭載バージョンが提供される予定だ。トーブル氏は詳細を明らかにしていないが、将来的にはIntel Core 2 Duoプロセッサを搭載するA60マシンが提供される見通しだ。

 「いずれは、AシリーズでIntelベースの新モデルを提供することになる。それらのモデルがThinkCentreのA50やA52をリプレースすることになるだろう。このシリーズは専らAMDのみの製品になるわけではない」とトーブル氏。

 AMDはサーバ市場にも参入しており、Opteronプロセッサは2003年のリリース以来、サーバプロセッサの出荷台数の4分の1以上を占めるに至っている。だがこれまでのところ、米国でAMDプロセッサ搭載のビジネスPCを提供しているのはHewlett-Packard(HP)とLenovoだけだ。Lenovoは、Lenovo 3000シリーズにAMDプロセッサを採用している。

 両社とも、米国のビジネスPCラインのターゲットをSMB市場に向けている(ただし、HPはAMD搭載のHP Compaq Business Desktop dx5150モデルの多くを大規模顧客に販売している)。

 だが、AMDはビジネス市場での地盤の拡大も計画している。同社は7月24日、ATI Technologiesを買収する計画を発表した。この買収により、AMDは同社プロセッサを採用したビジネスPCの設計でより大きな役割を果たせることになるだろう。

 なお、LenovoはノートPCのThinkPadについては当面、変更は行わないと見られている。ただし、ThinkPadには近く、7月27日にリリースされたIntelのCore 2 Duoプロセッサが採用される見通しだ。

Editorial items that were originally published in the U.S. Edition of “eWEEK” are the copyrighted property of Ziff Davis Enterprise Inc. Copyright (c) 2011. All Rights Reserved.