東芝は11月15日、HD DVDプレーヤーの新製品2機種を12月下旬に発売すると発表した。下位モデルは実売価格が5万円を切る普及モデル。大々的な広告展開も計画し、年末以降、次世代DVDの普及を一気に加速させたい考えだ。
同じ15日には松下電器産業がBlu-ray Disc(BD)レコーダーを発売し、BD再生に対応したソニー「プレイステーション3」(PS3)も11日に発売されたばかり。年末商戦に向け、次世代DVD争いが本格化する。
東芝のプレーヤーは、上位機種の「HD-XA2」と、普及モデルの「HD-XF2」。3月末に発売した最初の製品「HD-XA1」(関連記事参照)に比べ大幅に省スペース化したのが特徴。XF2は厚さ65.5ミリに薄型化されている。
それぞれHDMI端子を搭載し、上位機種のXA2は1080p出力が可能なほか、HDMI 1.3のディープカラー(24ビット超の色深度)もサポートし、対応テレビに接続すればきめ細かな階調表現が可能としている。
それぞれオープン価格で、実売予想価格は上位機種のXA2が11万円前後、XF2が4万9800円前後になる見込み。
「東芝はもう第2世代に突入」──都内で開かれた発表会で、東芝の藤井美英上席常務は「ようやく日本でも普及型を発売できる」と米国に遅れての普及型投入を報告。「次世代DVDの普及は2008年ではないかと言われるが、われわれの実感では『もうDVDもハイビジョン』。東芝は急速に次世代DVDへの移行を促進したい」と語った。
国内では3月末のプレーヤー発売、7月のレコーダー投入以来、プレーヤーは1万台弱、レコーダーは5000台弱を販売した。藤井上席常務は「日本で流通しているタイトルが少ない中では予想外の実績。第1世代は国内でも非常に順調だ」と振り返る。ハイエンドモデルと普及モデルの2本立てラインアップが世界市場でそろい、来年3月末までに世界合計50〜60万台の目標は達成可能だと見ている。
コンテンツタイトルは現在米国約100・国内約40。年末には米国約170・国内約70を含む計300タイトルに拡大する見込みで、発表会でも映画会社などのコンテンツ供給者の代表が顔をそろえた。安価な外付けプレーヤーを22日に発売する「Xbox 360」の国内事業を統括するマイクロソフトの泉水敬Xbox事業部長も出席し、HD DVD陣営の協力関係をアピールしてみせた。
「本当は10日ごろに発表会を予定していたが、PS3と重なってもしょうがない。分相応に、敬意を表してこの日に決めた」(藤井上席常務)。普及モデルの実売予想価格がPS3の下位モデルと同じになったのは「5万円を切る価格と最初から決めていた。近い値段になったのはたまたま」といい、「1億トランジスタを超えるLSIやブルーレーザーなど、次世代DVDは現行DVDと本当に違う。正直、4万9800円で発売できるのは本当に誇りだ」と低価格で発売にこぎ着けた東芝の力に自信をみせた。
BD陣営に対しては、ピクチャーインピクチャー機能やネット接続機能などの「アドバンストコンテンツ」を「なぜ作らないのか」と疑問を投げかける。藤井上席常務は「BDも1日も早くこうした機能を出して頂き、次世代DVDを楽しみたい」「何でみんな米国でしかプレーヤーを出さないのか。急速に次世代DVDムードを盛り上げたいのだが」とBD側に注文を付ける余裕も見せた。
来年の課題はレコーダーになりそうだ。7月に発売した「RD-A1」は39万8000円という高価なフラッグシップモデルで、「消費者の夢を壊すななどと批判も頂いた」(藤井上席常務)。録画文化が根付いている日本では「レコーダーがメジャーな商品」であるとことは認識しており、「急速にシフトを図っていく。今は言えないが、来年は非常に期待していい製品が出る」(同)と話した。
HD DVDの録画時間がBDに比べ少ない点が指摘されているが、「地上デジタルの録画時間は現在3時間50分だが、次の製品にはトランスコーディングなどの技術を入れ、30Gバイトでも6時間に伸ばせる」という見通しを示した。
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