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IBM、3Dチップ実現する新技術を開発

» 2007年04月12日 14時54分 公開
[ITmedia]

 米IBMは4月12日、3Dチップへの道を開くチップスタッキング技術を発表した。同社はこれがムーアの法則を延命させると主張している。

 この技術は「スルーシリコンビア(TSV)」と呼ばれ、半導体の各種部品をより緊密にパッケージングし、より小型・高速で省電力なシステムを作り出すことができる。

 IBMの新手法は、シリコンウエハーにチップやメモリデバイスを並べる従来の平面的な2Dチップから、各部品を重ねて配置する3Dチップへの移行を可能にするという。

 この手法では、2Dチップで使われている長い金属ワイヤが不要になる。代わりに、TSVではシリコンウエハーに小さな穴を空けて、そこに金属を満たす。複数のチップを重ねることができるため、チップ間でやり取りされる情報は多くなり、また情報がチップ間を移動する距離は2Dチップの1000分の1になる。

 IBMは既にこの技術を採用したチップを自社の製造ラインに乗せており、今年後半に顧客向けサンプル製造を、来年に量産を開始する。最初の3Dチップ製品は無線LANや携帯電話向けの通信チップで、サーバやスーパーコンピュータなど各種チップにもこの技術を適用する予定だ。

 3Dパッケージング技術をワイヤレス通信チップに利用すると、最高で40%電力効率が高まり、Powerプロセッサにこの技術を採用するとマルチコアプロセッサにおいてプロセッサコアへの電流の供給が改善されるとIBMは述べている。

 またIBMは、スーパーコンピュータBlue Geneで使われているプロセッサを3Dスタックドチップに変えたり、3D技術でプロセッサとメモリの通信方法を変える取り組みも進めているという。さらに同社は3Dスタッキング技術を使ったSRAMのプロトタイプを、300ミリウエハーと65ナノメートルプロセスで製造している。

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