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IBM、「自己組織化」を応用した半導体製造に成功

» 2007年05月05日 07時16分 公開
[ITmedia]
化学物質の自己組織化を利用し配線間にエアギャップを作る

 米IBMは5月3日、貝殻や雪の結晶、歯のエナメル質の形成などに見られる「自己組織化」の原理を、半導体回路の形成に応用した技術を発表した。

 従来の半導体製造では、半導体ウエハー上にレジストを塗布、回路図の形状を描いたマスクを用い、光を照射する部分を制御して、必要な形状をレジスト上に描く。そして露光したウエハーから余分な部分のレジストを除去するというプロセスが行われる。

 新技術では、化学物質を混合したものをパターンを置いたシリコンウエハーに注ぎ、焼き付ける。すると化学物質は規則性を持って自己組織化を始め、数兆個ものナノスケールの孔を、ウエハー上に形成する。これらの孔は直径20ナノメートルで、現在の最新リソグラフィー技術で形成可能な孔(パターン)の5分の1以下という小ささだ。

 無数の孔が形成された時点で、カーボン珪酸ガラスを除去すると、配線と配線の間に真空、つまり「エアギャップ」が生成される。このエアギャップにより、電気信号の伝達速度が従来半導体よりも35%速くなり、消費電力も15%低減されるという。

 IBMは、ニューヨーク州イーストフィッシュキル工場で既に同技術を導入しており、2009年には同技術による半導体製造開始を目指す。

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