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PS3「売上台数」は1Qで71万台 ソニー、「生産出荷」から変更

» 2007年07月26日 16時14分 公開
[ITmedia]
photo ゲーム事業実績(ソニー資料より)

 ソニーは7月26日、4〜6月期(2007年度第1四半期)の「プレイステーション 3」の売上台数は71万台だったと発表した。従来、同社はゲーム事業の実績数値として「生産出荷」数を公表してきたが、同期から売上数に変更した。同期のPS3用ソフトの売上本数は470万本。

 改めて公表した06年度のPS3売上台数は合計357万台。5月に公表した「生産出荷」台数は550万台で、その差の約190万台が在庫になっていたことになる(関連記事参照)

 ソニーはこれまで、工場で生産した数に当たる「生産出荷」数をゲーム機とソフトの実績値として公表してきた。ライバルの任天堂は実際に消費者に販売された(セルスルー)台数を公表しているため、ソニーもエンドユーザー向けの売上台数を実績として公開するべきだという指摘があった。

 ゲーム以外の分野では、ソニーもセルスルー数で実績を公表している。ゲームのみ生産出荷数で公表してきた理由について同社の大根田伸行CFOは「ライバルの任天堂がもともと、問屋に卸した数をベースに開示していたため、それに合わせて当社も生産出荷で開示したと聞いている」と説明。セルスルーに変更したのは「売り上げにリンクした数字を出して欲しいという要望がメディアなどからあったほか、ゲーム以外の開示方法と合わせた方がいいと判断したため」とした。今後、生産出荷台数での公表は行わない。

 任天堂「Wii」の同期の販売台数は343万台と、PS3の5倍近い(関連記事参照)

PS3、在庫増も「危険水域ではない」

 PS3の2007年度売り上げ目標は1100万台。第1四半期(1Q)に売り上げた71万台はその10分の1にも満たないが、大根田CFOによると「目標を若干下回った程度」。ゲームは秋〜冬が最大の商戦期に当たるため、1Qの販売目標はもともと低く見積もっていたという。

 ただPS3の在庫は増えている。ゲーム分野全体の6月末時点での棚卸在庫は2270億円で、前年同期(PS3発売前)比1050億円増、3月末と比べても282億円増加した。「PS3の全世界展開に向け、完成品在庫が増えた。販売数は想定よりも少ないが、危険水域ではない」(大根田CFO)

 今後は、ソフトや周辺機器とのセット販売や、ソフトのラインアップ強化を進めてPS3をてこ入れしていく。米国では、人気ソフトとのセットモデルを発表済み。「地域ごとのマーケットに合ったものを出していく」(IR担当部長の園田達幸氏)。ソフトは来年3月末までに200タイトルを投入する予定だ。「3D仮想空間『Home』など、HD画質とネットワークで楽しめる点も訴求していく」(大根田CFO)

 コスト削減も進めていくが、「戦略的な価格設定」(大根田CFO)により、製造価格が販売価格を上回る逆ざや状態はしばらく続く。「コストダウンには、CELLの製造プロセスを90ナノメートルから60ナノにシュリンクしたり、光ピックアップのコストダウンが必要。ドラスティックに下がるのはもう少し先だが、年末に向けて下がっていくだろう」(大根田CFO)

PSPは「全地域で好調」

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 同社は同日発表した1Qの連結決算で、過去最高売上高・利益を計上した。ゲーム分野の売上高も、PS3投入効果で1966億円と前年同期比60.5%増加したが、PS3ハードの逆ざやの影響で、営業赤字が24億円悪化して292億円になった。

 プレイステーション・ポータブル(PSP)の売上台数は52%増の214万台。全地域で好調だったという。「プレイステーション 2」は16%増の270万台と、想定以上に堅調だったとしている。

 ソフトは増収増益だった。売上本数は、PSP向けが6%増の990万本、PS2向けが5%減の3110万本。

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