iPhoneよりマリオ、Googleより茶道――チームラボが考える「和製UI」(2/2 ページ)
まず、お茶。「茶道はもともとはお茶をおいしく、行儀良く飲むためのものだったはずなのに、発展していくうちに、お茶がおいしいかおいしくないかは関係なくなってしまった。茶器をぐるぐる回してるうちに冷めておいしくなくなってるだろうし、茶会から帰ってお茶の味を覚えてる人なんかいないのでは。本来の目的を忘れた行為に、価値が与えられている」
「英国人が書いたお茶に関する本に、英国、中国、日本のお茶についての記述があり、日本だけおかしかった。英国はお茶を入れる温度や一緒に食べるケーキ、中国もおいしい淹れ方にこだわる。だが日本人は、お茶にいきなり宇宙を見いだしたり哲学を見いだす。その本にも『この国はおかしい』と書いてあった」
「スーパーマリオ」も「目的を忘れて行為を楽しむ」伝統が生んだ1つの例だという。
「どんなゲームにもそれなりに目的があるものだが、マリオの場合は毎回、ピーチ姫がさらわれてそれを助けにいくだけ。これはまた聞きなので正しいかどうか分からないが、マリオの開発者は『触っているだけで楽しいゲームを作りたいと思った』と聞いたことがある。作った人は多分、目的はどうでもよくて、行為を楽しんでほしいと思っていたのでは」
日本的UI――電話に出ないと「デナインジャー」が登場するケータイ
「目的のための行為に意味を与える」という考え方の応用例が、同社がau design projectのコンセプトモデルとして提案した「actface」だ。「Rhythm」「PLAY」の2種類あり、それぞれ、電話のボタンを押すという動作そのものに意味を持たせようとしている。
Rhythmは、ボタンを押すリズムに合わせて画面上に水墨画が描かれていったり、押したキーの数字が次々に飛び出す。「なんちゃってVJになれる」というUIだ。
PLAYは、携帯を操作するたびに、画面上の表示された「街が」変化していくUIだ。待ち受け画面にファミコン用RPGの2Dマップのような街を表示。電話帳に記録している仲間がその街に住んでいるという設定で、仕事関連の仲間が多ければオフィス街になるし、趣味の友人が多ければリゾート地に。バッテリーがフルだとみんな元気に、少なくなると元気がなくなる。
恋人からメールがあると、ハートが大量発生して建物がかわいらしいお城のように変わり、ラブリーな街に変化。何度もかかってくる電話に出ないと、かけてきた相手が怪獣になって火を噴きながら街を荒らし、それをヒーロー「デナインジャー」が退治する。
それぞれ、携帯電話の機能や使い勝手は全く変えず、UIに新しい意味と楽しさを持たせようとした試みだ。「目的そのものすら忘れられるような価値を与えることができたら。『日本的な革新』のあるUIができればいいな、と」
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
Excel、40年続く原則を変更へ 1個のセルで複数の値を扱う新機能
-
2
「タイムズカー」会員情報約660万件漏えい 運転免許画像など 不正アクセスで
-
3
Ankerの回収対象モバイルバッテリーで発火事故 25年度も7件、消費者庁が注意喚起
-
4
クリスタ素材非公開、セルシスに詳しく聞いた 「英国政府とは無関係」……決済事業者は?
-
5
OpenAI、最上位モデルのツール使用を伴う学習・評価・推論を全て停止したと発表
-
6
カカクコム、KDDIとの資本提携を解消 TOBで資本構造が変化 業務提携は継続
-
7
農水省の“クソダサ”ポスター話題 「AIよりよっぽど良い」の声も 担当者に狙いを聞いた
-
8
「スマホ注文なのに客用Wi-Fiがない」のはなぜか? 導入しない飲食店側の事情
-
9
東京メトロ、不正アクセスで会員メアド約5万9000件漏えいのおそれ 海外からか
-
10
週89時間利用も……「AIキャラチャット」依存の10代たち 「やめたい」と思っても抜け出せないワケ
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR