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Facebookユーザー、Beacon機能に抗議の署名

» 2007年11月22日 17時56分 公開
[Roy Mark,eWEEK]
eWEEK

 米Facebookは現在5200万人以上のユーザー数を誇る人気のソーシャルネットワーキングサービス(SNS)だが、そのユーザーネットワークを企業に活用してもらおうと同サイトが打ち出した新機能をめぐり、既に5000人以上のFacebookユーザーが抗議の請願書に署名している。その新機能とは、友人の紹介を通じて企業が広告ターゲットを絞れるようにするための「Beacon」と呼ばれる新しいオンライン広告ネットワークだ。

 Facebookは企業に対し、この機能を使って何百万人ものユーザーに口コミの宣伝を行うよう奨励している。一方でFacebookはメンバーに対し、この広告システムをオプトアウトする選択肢も提供している。

 だがリベラル派の権利擁護団体であるMoveOn.orgは、FacebookのBeacon機能がオプトインではなくオプトアウト方式を採用している点について、「ユーザーのプライバシーを侵害するものだ」と主張している。MoveOn.orgはFacebookに方針を改めさせるべく、オンラインでの陳情活動を開始しており、11月21日時点で5316人のFacebookユーザーの署名を集めている。

 「全国のFacebookユーザーが憤慨している。自分がほかのサイトで購入した書籍や映画、ギフトの情報が許可もなしにほかの大勢の目にさらされることに対してだ。Facebookはこの大規模なプライバシー侵害をやめる必要がある」とMoveOn.orgの広報担当者アダム・グリーン氏は声明で語っている。

 「Facebookはプライバシーを尊重すべきだ。Facebookの多くのほかのアプリケーションと同様、Beaconもオプトイン方式に切り替えるべきだ。オプトアウト方式は広告主を利することにしかならない」と同氏。

 Facebook幹部によると、情報は一般に公開されるわけではなく、Beacon機能はユーザーのプライバシーの侵害にはあたらないという。

 「情報はユーザーの信頼できる友人で構成される限られたネットワークでのみ共有され、Webで広く公開されたり、Facebookのすべてのユーザーに公開されたりするわけではない。またユーザーが“情報を公開しない”という選択肢を選ぶ方法は、Beaconの加盟サイトにおいてもFacebookのサイトにおいても複数用意されている」とFacebookの幹部は声明で説明している。

 Facebookによると、ユーザーがBeaconのパートナーサイトで何か購入した場合、その情報をFacebookに送信する旨が買い手の画面にポップアップ表示される。その時点で、買い手は情報の送信をキャンセルすることができる。ここで情報の送信に同意した場合には、そのユーザーが次にFacebookにログオンした際に、その情報を友人に公開していいかを確認するメッセージが表示される。

 「何百人あるいは何千人もの“仲の良い友人”同士で個人的な情報を共有することと、そうした情報を一般に広く公開することは違うというのがFacebookの言い分であるのなら、その主張がいかに弱いものであるかは明白だ。年末商戦期に購入した商品のリストをすべて公開されてしまったり、オンラインで注文した書籍や映画をすべて雇用主に把握されてしまったりした人たちに、そんな理屈が通じるだろうか?」とMoveOn.orgのグリーン氏はeWEEKあてのメールで指摘している。

 Facebookのマーク・ズッカーバーグCEOは11月6日、Beaconの発表イベントにおいて、「広告メッセージはソーシャルグラフを介して配信される」と説明している。ソーシャルグラフとは、オンラインで情報を共有したり、連絡を取り合ったりする友人全員とのつながりを示した相関図のようなものだ。ユーザーがある企業のFacebookページをチェックすると、その企業の情報がそのユーザーのソーシャルグラフ中に広まることになる。

 ユーザーは友人同士で企業に関する情報を共有したり、あるいは、レビューを追加したり、写真をアップロードしたりなど、Facebookページを介してその企業と直接やり取りすることもできる。

 MoveOn.orgの請願書には、「ズッカーバーグ氏は、FriendsterやMySpaceなどのサイトが墓場への道を進んでいるのには理由があるということに気付くべきだ。どんな企業であれ、顧客の扱いを誤れば、より良いライバル企業の登場によって顧客を失うことになるだろう」と指摘するヤーヤ・Rさんをはじめ、Facebookユーザーから多数の抗議コメントが寄せられている。

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