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重イオンビームが咲かせた白いナデシコ新品種 理研、改良期間の短縮に成功

» 2008年04月17日 09時04分 公開
[ITmedia]
photo 新品種「オリビア ピュアレホワイト」

 重イオンビームを使い、従来は10年近くかかっていたナデシコの品種改良を3年に短縮することに、理化学研究所と北興化学工業の共同研究グループが成功した。新手法による白いナデシコの新品種を開発し、このほど一般販売が始まった。

 草丈の低い「わい性ナデシコ」の品種「オリビアシリーズ」のうち、紅白の花をつける「ホワイトアイ」の腋芽に、理研リングサイクロトロン(仁科加速器研究センター)で加速した炭素イオンを照射した。これを栽培し、白色の花を付ける枝を選んで増殖した結果、株全体で白色の花が咲く品種の開発に成功。「オリビア ピュアレホワイト」と名付けて品種登録を出願した。

 オリビアシリーズは、北興化学工業とナデシコ育種家が、交配などの手法で8品種を開発していたが、花が単色の白の品種は作れなかったという。新品種はカネコ種苗と提携して3月から販売を開始。理研の和光研究所が一般公開する4月19日、新品種の240株を無料配布する。

 重イオンビームの照射で突然変異を誘発する手法は、ガンマ線やX線を照射する手法に比べ、植物に障害を与えない条件での遺伝子変異率が高い上、傷つく遺伝子が少ないため、変異の固定に必要な期間が短い特徴があるという。これまでダリアやサクラなどの品種改良に取り組み、市販品種の育成に成功してきた。

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