「iPhoneは、一時的にはブームになるだろうと思っていた。だが、端末が一般の人に魅力的かは疑問。こういう流れは想定していた」――KDDIの小野寺正社長は9月17日に開いた定例会見で、苦戦が伝えられるiPhoneの売れ行きについてこうコメントした。
同社も来春にスマートフォンを投入する予定だが「まだ(テンキー式)携帯電話の方がスマートフォンよりも使いやすい」という認識。スマートフォンは、法人向けのアプリケーションやソリューションなどとセットで提供していく必要があると述べた。
iPhoneは発売当初、マスコミに大きく報じられた。発売日にはソフトバンクモバイルの販売店に長い行列ができ、端末は一時的に在庫不足になった。「iPodのケースを見てもそうだが、米Appleはマーケティングがうまく、上手にマスコミを巻き込む。一時的にブームになるだろうとは思っていた」――小野寺社長は当初のブームは予想していたと話す。
だが最近は販売不振が報じられ、累計の国内販売台数は20万台程度ともいわれている。「端末が客にとってどこまで魅力的か――Apple製品に関心のある人には魅力的だろうが、一般の客にとって魅力かどうかが疑問だった。こういう流れは想定していた」
小野寺社長は、iPhoneを含むスマートフォンの魅力は現状、テンキー式の携帯電話より劣っているとみる。「スマートフォンの総販売数を見ても、端末の魅力は低いと言える。まだ携帯の方が使いやすいというのが本当のところだろう。入力方式にしても、日本の携帯ユーザーにとってはテンキー入力が当たり前。テンキーを前提にした日本語変換が便利になっており、今のスマートフォンより圧倒的に打ちやすい」
スマートフォンは、海外ではビジネス端末として需要が高く、ソフトバンクの孫正義社長はiPhoneを法人向けに拡販しようとトップセールスをかけている。だが小野寺社長は、法人向けでもテンキー式の携帯電話の方が強いと述べる。
「当社がBREWで提供しているような法人向けソリューションやアプリケーションは、スマートフォン向けにはまだほとんどない。日本のユーザーはプライベートで携帯電話を使い慣れている。スマートフォン拡販には、携帯の使いやすさを上回る機能やサービスが必要」
同社は台湾HTC製スマートフォン「E30HT」を来春発売すると発表している。メインターゲットは法人で、法人向けサービスやアプリケーションなど、ソリューションを含めて販売していく考えだ。「ソリューションを開発しないと意味がない。携帯にない付加価値をスマートフォンに見い出せるかの勝負だ」
スマートフォンの個人向け販売については明言しなかった。「個人でどこまで受け入れられるか。マニアックな人には使ってもらえるだろうが、そこをターゲットにするのがいいのかどうか判断する必要がある」
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR