モバイルSuicaで改札を通ると、自分の好きな音が流れたり、電子レンジに液晶ディスプレイを取り付けて「YouTube」を見たり――慶應義塾大学SFC研究所のイベント「SFC Open Research Forum 2008」(11月22日まで、六本木アカデミーヒルズ)で、生活をちょっと楽しくしてくれそうな学生のアイデアが展示されている。
「オトノリ」は、着メロを設定するような感覚で、モバイルSuicaで改札を通過する際の通過音をカスタマイズするというアイデア。デモでは、モバイルSuicaをリーダーにかざすと「コケコッッコー」とにわとりの鳴き声が流れたり、あらかじめ録音した人の声が流れていた。
開発したのは、慶大環境情報学部の六反孝幸さんと同大学院政策・メディア研究科の鈴木雅陽さん。「携帯電話はプライベートが詰まっており、自分にとってはアイデンティティーのかたまりのようなもの。モバイルSuicaでも“自分だけ”の音を流せたら楽しい」(六反さん)と考え、企画した。
複数の人が同時に改札を通過して音をハモらせたり、連続して通過することで1つの曲が流れたりと、アイデアをふくらませている。「1日が電車で通勤・通学することから始まるという人は多いと思う。オトノリなら、学校に着くまでの間にも楽しめる」(鈴木さん)。
オトノリは、JR東日本が大学生を対象に展開するプロモーション企画コンペ「jeki企画コンペティション」でも最優秀作品に選ばれている(改札通過時に“自分だけの通過音”――渋谷駅で「オトノリ」披露)。
ユーザーインタフェースを研究する安村通晃研究室(環境情報学部教授)のブースでは、液晶ディスプレイ付きのTシャツと電子レンジが展示されていた。
「しゃべりカス」というユニークな名前が付いたTシャツで、胸の位置に液晶ディスプレイを搭載する。マイクも付いていて、自分が話した声を拾い、音声認識技術を使ってテキストに変換する仕組みを備えている。
ディスプレイでは、そのテキストがぱらぱらと落ちて下のほうにたまっていく。自分が話している言葉から、よく使う動詞・名詞・形容詞をピックアップし、ランキングで表示することもできる。消えゆく発話を視覚化することで、コミュニケーションを活性化させるのが狙いという。
日本語の苦手な外国人との会話をサポートしたり、人生を記録する“ライフログ”として使ったりといった利用法を考えている。音声認識の精度が低いため、しばしば話していない言葉が表示されるが「間違いも楽しみながら、会話が盛り上がるきっかけになれば」と、発案者で同大学院政策・メディア研究科の清水大悟さんは話していた。
電子レンジ「CastOven」は、ふたの前側に液晶ディスプレイを組み込み、YouTubeの動画を流れるようにしたもの。「あたため」ボタンを押すと、温め時間と同じ長さの動画が自動で流れ、待っている間も楽しめる。コンビニなどに設置するイメージだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR