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同人誌作りは甘くない 「焼き肉焼き鳥恋物語」ができるまで(3/3 ページ)

» 2008年12月29日 16時28分 公開
[岡田有花,ITmedia]
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 ググってみたところ、グレースケールの高度な使いこなし術を説明するページは見付かったが、「どうやってグレーを作るか」という超基本が分からない。

画像 「Photoshop漫画テクニック」に救われました

 仕方ない。この段になってまた本屋に走り、「Photoshop漫画テクニック」という本を買ってきた。コミスタではなく、最初からこの本を買えば良かったのでは、と後悔しながら。

 この本で紹介されていた、レイヤーマスクを使ったグレースケールの作り方をそのまま実践すると、何とかそれっぽくなってきた。グレースケールも慣れると、手でスクリーントーンを張るよりはずっと簡単に色や影を表現できる。これが今回唯一、原稿描きをIT化して「良かった」と思えたことだ。

 だた後で経験豊富な同人さんに聞いてみたところ、「レイヤーマスクを使うなんて面倒なことをしなくても、デフォルトのスウォッチから適当な濃度のグレーを選んでブラシで塗ればいいだけだろう」とあっさり。なるほど確かにそうだ……orz。

 ともかく漫画原稿は無事、締め切り前に完成。仲間たちの原稿もそろった。あとは入稿するだけだ。だが最後の難関がまた、強敵だった。

「ISO 9660」って何?

 記者が選んだ印刷所は、データ入稿する際の形式が決まっていた。いわく「ISO 9660形式のCD-R」で「ファイル名は8バイト+3バイト拡張子」。

 ??……日本語でおk。

 どうやら印刷所がMacで受け付けを行っているため、OSを問わず読める形式としてISO 9660を指定しているようなのだが、記者は筋金入りのWindowsユーザー。どうすればジャストにその形式になるのか分からない。Windows XPで普通にデータCD-Rを焼くだけではダメなのだろうか。

 締め切り2日前、ここで記者がしくじったら全員分のデータが無駄になる。プレッシャーを感じながら、また検索の旅に出た。どうやら「CD Burner XP」というフリーソフトならISO9660出力に対応しているらしいと判明。ダウンロードする。

 デフォルトの設定でCD-Rを作ってみたものの、焼いたCDをWindows機で見るとファイル形式が「UDF」と表示される。どうも違う気がするぞ。やり直そう――いろいろいじっているうちに、ファイル形式を指定できるメニューを発見。「ISO 9660」「ISOレベル1 8+3」でCD-Rを焼いた(そもそもWindows標準のJolietはISO 9660と互換性があるはずだが、仮にダメだった時にそれを締め切り間際の印刷所の窓口で主張するわけにはいかないのだった)。

 「これでいいはず」と思いながらも不安なので、家にあるMac Book AirでCD-Rが読めるか試してみたところ成功。しかし印刷所のMacで読めるかは別問題だ。不安に駆られながら、原稿を保存したデータCDと、バックアップ用のCDを作成。祈るような気持ちで、翌日入稿に行ってくれる西川さんに手渡した。

 翌日午後3時ごろ、西川さんから1通のメールが届いた。「入稿、無事終了しました」

 ――やった!! 充実感と、早く完成本を見たいという思いでいっぱいになる。ただ、勢いとお祭り気分で200冊も刷ってしまったため、どれだけ売れ残るか考えると恐ろしい。まぁ、売れなかったら売れなかったでいいネタになりそうだが。

 12月29日現在、まだ戦いは終わっていない。われわれは立派な「肉同人」として認められるべく、30日の当日ギリギリまで肉関連のグッズを製作中だ。加えてシコタホA氏の厚意で、「ITちゃん」のペーパーも配る予定だ。

 というわけで、30日にコミケにいらしゃるみなさん、どうぞお立ち寄りください。サークル名は「カニトピクルス」、スペースは「西ホール ま42a」で、「焼き肉焼き鳥恋物語」(A5、モノクロ24ページ、オフセット)と、肉グッズを用意しております。

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