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ジョットの絵画技法、テラヘルツ波で解明 NICT

» 2009年02月26日 07時00分 公開
[ITmedia]

 独立行政法人・情報通信研究機構(NICT)は2月25日、ルネサンスの先駆けとして知られる中世イタリアの画家・ジョットの名画をテラヘルツ波で非破壊分析し、その技法を初めて解明したと発表した。「テラヘルツ波が文化財分析に有効であることを世界で初めて実証した」としている。

photo ニュースリリースより

 イタリア・フィレンツェのウフィツィ美術館が所蔵する、14世紀初頭に描かれたとみられる「バディア家の祭壇画」の修復に合わせて分析した。その結果、絵の下地は2層の石膏などからなっており、あくまで祭壇の装飾として絵を描いていた中世特有の特徴が判明。だが絵には自然で人間的な表現がみられ、中世の技法の上にルネサンス的表現で描かれたマイルストーン的な作品であることが分かったという。

 テラヘルツ波は光と電波の中間にある電磁波。X線などの既存技術では金属以外の物質からなる文化財などの内部構造を非破壊・非接触で観察することは不可能だが、テラヘルツ波による分光イメージング技術では、完全に非破壊で、不透明な物質でも透過する特性をいかし、内部構造の観察に利用できるという。

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