富士通研究所は5月12日、暗号化した紙文書を携帯電話のカメラを利用して復号化する技術を開発したと発表した。携帯電話で専用ソフトを起動してパスワードを入力し、紙に印刷した暗号データにカメラをかざすと、画面に復号化したデータを表示する仕組みだ。
昨年6月に発表した紙文書の暗号化技術を応用した。ドキュメントをPCの専用ソフトで暗号化し、パスワードを設定して印刷すれば、モザイク状に暗号化された紙文書ができあがる。
暗号化した紙文書を復号化するにはこれまで、スキャナで読み込む必要があったが、スキャナのない外出先で資料を見たいという要望があったため、携帯電話のカメラを使って復号化できる技術を開発したという。
携帯電話はスキャナと異なり、手ブレやゆがみで正しく認識できない画像が撮影される可能性が高いため、独自技術「画像選択フィルター処理」を導入。認識できない画像を事前に排除し、最適な画像のみ復号化することで、すべての画像を復号化するのに比べて処理時間を50分の1程度に短縮した。
2009年度内の実用化と、2010年度内の製品化を目指す。官公庁や金融機関、個人情報を扱う企業などでの情報漏えい対策や、証明書の改ざんチェックに利用できるとしている。中づり広告やちらしに採用し、割引クーポンを暗号化して配布するなど、新サービスへの応用も検討する。
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