米MicrosoftのWindows 7は2009年後半に登場する予定だ。評論家は成功の可能性を論じる準備を進め、消費者はついに同OSを手に入れる機会が来ると心待ちにし、企業はVistaよりもいいだろうかと考えている。
そしてApple――クールでコンシューマーフレンドリーなApple――は、これまでに登場したどのOSよりも優れていると称する「Snow Leopard」を準備している。その一方で、同社が抱えているかもしれないジレンマ、すなわちWindows 7にはほとんど触れていない。Windows 7はいい製品なのか? 消費者に気に入られるのか? それ以上に重要な疑問は、Windows 7にはMac OS Xが時代遅れに見えてしまうような機能があるのだろうかということだ。
この疑問には今、答えられると思う。Microsoftは、Windows 7の最新リリースであるRC(リリース候補)1は正式版に近いと言っているからだ。確かに、Windows 7はいい製品になるし、消費者にも気に入られるだろう。そして、AppleのOSを古く見せてしまう機能も備える。
Appleは対抗せざるを得ないだろう。
Windows 7のタスクバーと比べると、Mac OS XのDockはあまり魅力的に見えない。
Windows 7のタスクバーからは、開いているアプリケーションと閉じたアプリケーションの両方にアクセスできる。これはMac OS XのDockと同様だ。だが開いているアプリケーションのアイコンにマウスカーソルを合わせると、すべての開いているアプリケーションのインスタンスのサムネイルが表示される。マウスを個々のサムネイルの上に動かすと、そのサムネイルが前に出て拡大される。Windows 7ではMac OS Xよりも、目当てのウィンドウを開くのに時間がかからない。Mac OS Xには、デスクトップを整理し、目当てのアプリケーションに短時間でアクセスするためのマルチデスクトップツール「Spaces」があるが、Windows 7のタスクバーとはどのレベルでも比べものにならない。Windows 7は(ついに)アプリケーションの起動と整理に関してMacよりもずっと優れた体験を提供している。Appleには再び、これを改良するという重責がかかっている。
WindowsとMac OS Xのエコシステムを考える場合は常に、ソフトウェアに目を向ける必要がある。Vistaが登場する前は、Windowsのエコシステムに影響する問題はそれほどなかった。互換性の問題はなく、企業は欲しいソフトを手にしていた。Vistaのリリースで、そうした状況はすっかり変わった。IT管理者は、壊れたアプリケーションがいつアップデートされて、Vistaで動くようになるのだろうかと苦悩し、開発者は互換性問題の解決策を慌てて探した。Microsoftは解決すると言い続けていた。
このため多くの企業はVistaを敬遠した。XPや、Mac OS Xなどほかの選択肢が採用されることが確実になった。Appleには有利な材料となった。さらに、この問題のせいでMicrosoftの面目はつぶれ、Vistaは大したことがないという世間の評判につながる筋書きができてしまった。
だがWindows 7は違う。XPモードがあり、Windows 7では動かないアプリケーションを仮想のXP上で実行できる。つまり、Windows 7の導入は、全社的な配備が必要な企業にとって問題ではないということだ。Windows 7では、企業が依存しているミッションクリティカルなソフトが忘れ去られたまま、ということにはならない。
Appleにとっては、また1つ機会を逃したことになる。Microsoftが再び互換性問題を抱えたOSをリリースすれば、企業はXPに代わる選択肢を求めるだろうから、Appleの法人市場進出はもっと早く進む可能性がある。開発者は、またもWindowsに自分のソフトを壊されて、締め出しを食らうだろう。だが、その問題が解決されたとなれば、Appleにはそのアドバンテージはない。
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