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ひろゆき&夏野コンビが語る「日本のITよ、自信を持て」(2/6 ページ)

» 2009年06月12日 19時56分 公開
[岡田有花,ITmedia]

ひろゆき 古くから政治家はメールを使っていて、メールマガジン出すとかは小泉(純一郎)元首相がやったりとかしていたんだけれど、Twitterのようにリアルタイムに書いたものをリアルタイムにユーザーが見るのは多分、オバマさんが初めてでしょうね。

夏野 リアルタイムにネットを使いこなした選挙をした政治家、オバマさんはすごいよね。WebサイトとかYouTubeに動画を上げるのは、どこかでまとめて撮っておけばいいけれど、Twitterは本人か本人に近い人がやらないとバレちゃう。

ひろゆき どういうのが親近感を感じるかだと思うのですけど、政治家が本を出すとかテレビの取材に答えるというのは昔からあったけど、Twitterはリアルタイムに自分に直接届けてくれるという、今までと違う親近感の感じ方があったのでは。

夏野 「ライブ感」という新しい潮流が出てきていると思う。

名の売れた政治家は、ほとんどニコ動で生放送をしている

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夏野  あと、ちょっと名前の売れた日本の政治家さんは、ほとんどニコ動で生放送やってらっしゃるんです。この状況は、日本の産業界にきちんと理解してもらいたいなと思う。政治ってITに最も疎い、最も遅れているはずなのに、日本の大企業のトップの人よりは政治家の方がよっぽど進んでいるという状況なんです。

ひろゆき 多分、分からな過ぎたのが良かったんでしょうね。多少分かっていたら、炎上がどうこうという話になるじゃないですか。恐さを知らないから。「オバマが使ったインターネット、あ、俺も使う」みたいな。

夏野 でも僕、インターネットの本質って、それぐらいのノリで使えるメディアだと思う。

ひろゆき 結局、システムなので、炎上しないような仕組みでやるとか、どういうリアクションを取るかは自分で決められるんですね。掲示板のようなところでユーザーにガンガン言われるところでやる人はやればいいし、動画流すだけでリアクション求めない、というのもやりたければできるし、本人が出し方や表現の仕方をコントロールできるというのが今までのメディアとの違いだと思う。

夏野 炎上しても多分、政治家本人は気付かないしね。

ひろゆき 見てもいないですよ。

夏野 ただ、みんなが名を知っているようなある政治家さんがおっしゃってたんですけど、選挙区に帰るといろんな人に会って寝る間を惜しんで握手してるのに、よく考えると若者はあまりそこにいなかった。自分としては精一杯だったのに若者には届いてなかったのを、ニコ動で埋められたと。

 その方、最初はニコ動のコメントにかなり怒っていたんですけど、そのうちコメントがないと寂しがるようになっちゃった。その方は元首相で、漢字1文字の。

ひろゆき “イット”じゃない、と。

夏野 一方で大企業の社長さんは、例えば孫さん(ソフトバンクの孫正義社長)は、携帯電話の端末発表会をニコ動に生中継していて、コメントがガンガン入ってくるのを見て「この端末やべぇ」と言っているらしいんですが、僕の古巣(NTTドコモ)は絶対にやらないね。原稿あるからね。「原稿読むなよ」と思うけど。

ひろゆき それは本人の強さだと思うんですけどね。孫さんは、何が起きてもコントロールできる自信があるし、いろんな人に見てもらって楽しんでもらう自信があると思う。某社のサラリーマンの人と、かかってるプレッシャーやサービス精神が違うわけじゃないですか。すると勝てないと思うんですよね、サラリーマンと孫さんじゃ。

夏野 俺もサラリーマンだったけど、原稿があると緊張してダメ。「読まなきゃダメなんだ、間違えちゃいけない」と思うから。というわけで原稿はないのですが、この話題をしているとだんだん危険な方向に行くので。メディアについて話をします。

紙と本、テレビとネット

画像 紙媒体とテレビの市場規模推移

夏野 大変なことが最近、起きていると思っていて。紙媒体の市場規模が減っている。新聞は06年から2%ずつ減っているし、出版も市場が3%ずつ減ってる。

 この間、Googleが絶版本を勝手にスキャンしてネットに上げるということで大騒ぎになっていたけれど、何で絶版になってる本を出されてお金をもらえるのに嫌がるの?

ひろゆき 分からないものは恐いからやめとこうっていう。

夏野 あ、そういうこと? 僕も売れない本3冊書いたけど、まだ在庫があるらしくて、Amazon.jpに出てるからいいんだけど、絶版になったらそれでも読みたいという殊勝な人がいたらもう、いいじゃん。

ひろゆき そういえば僕、絶版になった10万円の本を3日前ぐらいに読みましたよ。横井軍平さんという、任天堂のおもちゃをずっと作ってきた人の本が、Amazonのマーケットプレイスで10万円で売ってるんです。もともと1000いくら(1470円)の本ですが。

 なんで絶版かというと、横井さんが任天堂の社員だったころに「遊びとかゲームはコピーされてなんぼだ」と書いてあるんですよ。任天堂的にはまずかったかなと。それが絶版の理由かは、分からないですけど。

夏野 でもそれ10万円じゃなきゃ買わなかったでしょ?

ひろゆき いや、買ったんじゃなくて、知り合いが借りたので……

夏野 まさにコピー!

テレビはどうなる

夏野 出版業界も、ネット生かさないと、縮小していっちゃうんだよね。テレビ業界の営業収入もあんまり変わってないけど、広告収入だけピックアップすると年5%くらい減ってます。ローカル局はほとんど赤字状態。

ひろゆき 新聞はもともと、最新の情報が来るものだったじゃないですか。でも今は1日遅れだったりするわけで。テレビもあまり生放送とかやってなくて、本当にリアルタイムの情報を知りたい人はネットに来ちゃってる。

 リアルタイムの情報に人は集まりがちなのかなという気が、最近しているんですけど。リアルタイムじゃない雑誌や新聞の売り上げが下がってて、テレビも売り上げが下がっているし。

夏野 テレビはこれからどうなるのかな。

ひろゆき 予算もないし、生放送ばっかりやってればいいんじゃないすか。

夏野 でもTBSが4月から番組改編して、60%を生放送番組にしたら、視聴率が激落ちだったって。

ひろゆき びっくりしますよね。TBSがある日、1日の番組の中で一番視聴率が高かったのが、再放送の水戸黄門。えーっていう。

夏野 難しいんだと思うんですよ。事件が起きたり、何かがあるときはすごく視聴率上がるけど、生は平時に弱いから。イベント性をきちんと出さないといけないのに、60%生となると、生が目的になっちゃって、内容が薄くなっている可能性がある。

ひろゆき 細かいところは分からないので、TBSさん頑張ってください。

夏野 ということで……じゃあダメじゃん、生。

ひろゆき まぁぶっちゃけそうなんですけど。

テレビ番組は面白い オンデマンドにするべきだ

ひろゆき まぁただ、テレビのモデルって100万人が面白がらなきゃいけないわけじゃないですか。100万人みんなが面白いものって少ないと思うんですよね。

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