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「ユーザーがWeb世界を変えていく」 Googleマリッサ・メイヤー副社長来日

» 2009年06月15日 18時22分 公開
[ITmedia]
photo 米Googleのマリッサ・メイヤー副社長

 「ユーザーがどのように変化していくかを学びながら、検索サービスを展開していく」――米Googleの検索事業責任者マリッサ・メイヤー副社長が6月15日、都内で会見し、検索の方向性について語った。

 Googleの調査によると、世界のオンラインコンテンツの合計容量は、5年前は5エクサバイトだったが、現在は281エクサバイトと50倍以上に増加。ユーザーが発信する動画や静止画、テキストなどのコンテンツの1日当たりのデータ量も3年前に比べ15倍になった。検索結果の約20%は、最近3カ月に更新されたものだという。

 コンテンツの種類・量とも増えたことで検索の課題も増え、「検索サービスも進歩が必要になった」とメイヤー副社長は述べる。

 同社が重点的に取り組んでいる課題は、(1)ユーザーが検索キーワードを考えたり入力する労力を減らす、(2)検索結果をパーソナライズする、(3)ユーザーに検索のプロになってもらうのではなく、最適な結果を簡単に得られるようにする――の3点だ。

 取り組みの一例が、「Google Suggest」を進化させた「Suggest 2.0」(米国のみで展開)だ。おすすめの検索キーワードを表示するだけでなく、検索結果のURLまで示し、検索結果ページにアクセスする手間を省いている。検索を簡単にする取り組みとしては、検索ワードのスペルが分からなくても、音声入力で検索できる「Voice Search」といったサービスもある。

 「検索やツールをどんどんパワフルにしていく。それによってユーザーは、情報にアクセスする力を伸ばす」――学術資料を閲覧できる「Google Scholar Search」や、世界中の研究者が持つ研究データをまとめたり比較できる「Fusion Tables」など、知の蓄積にアクセスしやすくする取り組みも紹介した。

 ユーザーの検索行動が社会貢献につながる例も。検索トレンドから新型インフルエンザの流行を推測する「Flu Trends」の結果によると、インフルエンザについて検索するユーザー数と、実際の患者数の推移とは正の相関があったという。「ユーザーが検索やネットに加わることによって、世界全体に貢献できるようなサービスを作ることができる」

 バラク・オバマ大統領がオンライン市民集会に利用した、プレゼン用質問ツール「Google Moderator」も紹介。Web経由で質問を投稿したり、ほかのユーザーの質問に投稿できるツールで、「国民がお茶の間から、政治意見を形作れる」と話す。

 メイヤー副社長は、ユーザーの好奇心や検索に対する意欲はまだまだ伸びるとし、「ユーザーが(コンテンツをアップするなどして)ネットに貢献し、情報を探すことで、1人1人がWeb世界を良くし、変えていけると思っている」と述べた。

 Microsoftがこのほど公開した新検索サービス「Bing」や、Google対抗と言われた「Wolfram|Alpha」については、「検索でまだまだ創造的なことができると、業界全体が証明している」とコメント。「競合に対しての注意はもちろんあるが、ユーザーが何を求め、何を第一に思っているかを考え、それに注力することが開発の一番の原動力になる」とした。

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