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物を拾う感覚やなでる感覚も再現 触力覚ディスプレイをゲームにもTGS2009

» 2009年09月25日 07時00分 公開
[小笠原由依,ITmedia]
photo 「GravityGrabber」。モニターに映る立体を持ち上げると、圧力が指先に伝わる

 CGを“触って”感触を指先で味わえる――9月24日に千葉・幕張メッセで開幕した「東京ゲームショウ2009」で、慶応義塾大学大学院 舘研究室と東京大学大学院 川上研究室が、「触力覚ディスプレイ」を展示していた。指に巻いて使うタイプのものとペン型のものがあり、ゲームの新しいユーザーインタフェースとして開発しているという。

 指に巻くタイプの「GravityGrabber」は、一言で言えば指に装着するフォースフィードバック対応コントローラだ。

 装着すると、ディスプレイに映っている立体を指でつかんで運んだり、現実の空の箱を持って振ったり傾けたりすると、CGの箱の中身を揺すったりこぼしたりできる。デバイスの位置を赤外線センサーで、傾きを加速度センサーで検知するなどして計算している。


photo 空の箱を振るとモニターに映る箱も動く。デバイスから伸びる3本の触角のようなものは、赤外線カメラで位置を特定するためのマーカー
photo 2つのモーターが指の腹に接するベルトを巻き込み、触覚を再現した圧力をかける

 触覚は、デバイスを装着した指の腹に巻く細いベルトが表現する。CGの動きなどに応じた感触を計算し、その結果に基づきベルト両端の2つのモーターがベルトを巻き取ることで指先に触覚を伝える仕組みだ。

 例えばディスプレイに映ったCGの立体をつまんで持ち上げると、何かを持っているような圧力が指先に伝わる。小さなボールの入った箱を揺すると、ボールが箱に当たるような感触が伝わってくる。

photo ペンタイプの触力覚ディスプレイ

 「Pen de Touch」と呼ぶペンタイプのものでは、2台の液晶ディスプレイとプロジェクターを使い、正面、側面、上面から見たバーチャル空間を表現。ペン型デバイスで画面上の立体をつついたり、でこぼこした面をなでると、押した感触やなでた感触がペンを通して伝わってくる。位置検知の仕組みなどは同じで、感触は、ペンに内蔵した3つのモーターの回転でペンの先端部を動かすことで表現する。

 「振動するゲームコントローラーは普及したが、触覚を伝えるものがない。かといって、研究開発用の装置をゲームに利用するには高価過ぎて使いにくい」と考え、シンプルでリアリティーのある触覚を再現するデバイスを開発したという。

 商品化も考えているが、時期は未定という。指先に装備するタイプのものは、ファースト・パーソン・シューティングゲーム(FPS)でアイテムを拾う感覚や発砲する際の感覚を伝えるなど、ペンタイプのものはニンテンドーDSなどペン型デバイスを利用したペット育成ゲームへの応用を考えているという。

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