硫化鉄でできたうろこを持ち、深海に暮らす奇妙な巻き貝「ウロコフネタマガイ」の大群集を北海道大学、海洋研究開発機構、新江ノ島水族館による共同研究グループが発見し、11月30日、同水族館(神奈川県藤沢市)で世界初となる生きたままの一般展示が始まった。
ウロコフネタマガイは2001年に発見された。貝殻は最大で4.5センチ程度だが、足の表面が硫化鉄のうろこで覆われており、「スケーリーフット」(うろこのある足)とも呼ばれている。従来はインド洋中央海嶺の深海熱水活動域「かいれいフィールド」にごくわずか生息していると考えられてきた。
研究グループは11月に「しんかい6500」でかいれいフィールドを調査したところ、水深2420メートルの場所で少なくとも数千匹のスケーリーフットが集まる大群集を発見した。熱水に群がるエビを追い払うと、その下の地面をびっしりと覆うスケーリーフットが見つかったという。
採取したスケーリーフットの一部の個体を大気圧で飼育することにも成功。捕獲直後から温度や酸素濃度を厳密に管理し、3週間以上の長期飼育に成功。同水族館で世界初となる一般展示を始めた。
研究グループは、大群集の発見と飼育の成功で、謎の多いスケーリーフットの生態を詳しく調べられる上、硫化鉄のうろこを生成する仕組みを解明できれば産業にも役立つのではと期待している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR