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まさかの92%オフ 「YUREX」で目指せ貧乏ゆすりのエバンジェリスト(2/2 ページ)

» 2010年01月29日 11時59分 公開
[宮本真希,ITmedia]
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 揺れるといえばおっぱいだ! ――ひそかに自宅で、ビニールひもをYUREXのベルトに通し、上半身にくくりつけた。どうにかして揺れを作り出そうと、飛び跳ねたり、上半身を勢いよく反らしてみる。だが記者の胸部のスペックが低いためか、うまくいかない。部屋の鏡に映る自分の姿が情けなさすぎて、全俺が泣いた。


画像 上半身にくくりつけて飛び跳ねる様子を再現。すぐズレ落ちるのはスペックが低いせいではないはず
画像 おまけ。「八つ墓村みたい」という上司の言葉をヒントに、YUREXでホラーごっこしてみた。無駄に楽しいぞ

 カヤックでYUREXを担当している浦上幸江さんに確認すると、アプリは、累計回数が2万回に到達すればインナービートを抽出できるとのこと。普段貧乏ゆすりをしない記者にとって2万回もゆらすのはキツいが、諦めるわけにはいかない。頑張れ私! 目指せ、トップユスリート!

チアガールに「もっと揺すってぇ」と挑発される

画像 チアモード

 その後もYUREXを使い続ける。貧乏ゆすりのせいか、太ももの前側が筋肉痛のように少しだるいときもあった。そこで気晴らしにアプリの「チアモード」を使う。陽気な音楽をバックに、チアガールが踊り、「カモーン」「BBU! BBU!」「イイジャナーイ」と励ましたり、「もっと揺すってぇ」と挑発してくる。

 おかげで貧乏ゆすりの累計回数はついに2万回を突破し、集中度合いが常に表示されるようになった。記者のインナービートで「ノリノリ」状態を維持するためには、高速に揺らし続ける必要があるようだ。気を抜いて足を止めないよう意識して仕事をする。昼食後などついウトウトしがちな時間も、足を動かしているからか眠くならない気がする。


画像 「ダレ」はあまり集中できていない状態らしい
画像 ノリノリ状態に到達
画像 ドーピングスイッチオン

 アプリでは、ホルストの組曲「惑星」の第4曲「木星」が繰り返し流れる。宇宙を感じる壮大なムードの中、さらにモチベーションを高めるため、ドーピングスイッチ機能をオンにしてみる。波形の山が素早く右から左へ流れ去っていき、拍動音も高速で再生される。タイミングを合わせてビートを刻もうと、すっかりアプリ画面に夢中になってしまった。やばい、全然仕事に集中できていない……

画像 アプリと連動するサイト

 アプリは、カウントしたデータを専用サイトに自動でアップロードする機能を備えている。サイトでは回数ランキングを確認でき、記者は累計約3万回時点で、432人中55位だった。トップのユーザーは、累計130万回以上貧乏ゆすりをしている。上を目指して頑張ろうとヤル気がわいてきた。

 その前向きな気分を維持したまま、仕事にも臨むことにした。“ながら作業”が苦手な記者は、仕事をしながらYUREXを使うことに向いていないかもしれないが、気持ちを切り替える道具としては役立てられそうだ。「ここぞ」という時にビジネスマンがネクタイを締めなおすように、記者は今後、正念場でYUREXを装着し、気合いを入れたいと思う。

震度3の揺れを起こすカヤック代表

画像 貧乏ゆすり癖がひどいというカヤックの柳澤大輔代表もサイトに登場

 YUREXは、カヤックの設立10周年記念で開発した。貧乏ゆすりに注目したきっかけは、カヤックの柳澤大輔代表だ。「貧乏ゆすりと言えば柳澤というくらい、すごい揺れているんです。レベルは震度3くらい。入社直後は衝撃的だった」(浦上さん)

 貧乏ゆすりの力を前向きに活用しようと、2008年1月に企画をスタート。当初思いついたのは、貧乏ゆすりで発電する製品「ハッピーバイブレーション」だ。歩いて発電する「発電床」にヒントを得たものの、技術的に実現が難しかったという。

画像 BBU概論とは……

 その後明和電機も企画に加わり、貧乏ゆすりで鳴く象の形のおもちゃ「ヒザ小象」やロボット「BINBO-U3」などアイデアを次々に出していった。そのうち「貧乏ゆすりはクリエイティブな営みである」というBBU概論や、「膝や太ももに装着する」「貧乏ゆすりを計測する」といった製品コンセプトができ上がっていき、YUREXが誕生した。

 ネット企業のカヤックにとって、製品の開発は初めてだ。YUREX本体とアプリ、アプリとWebサイトをそれぞれ連携させたり、製品テストを行うといった、慣れない作業に苦労したという。YUREXを通じて得た製品開発のノウハウを今後に生かしていきたいと浦上さんは考えている。

原価割れもいいとこ

画像 浦上さん

 YUREXは「結構お金がかかっている」という。定価の1万2600円は「赤字がでないギリギリの額」だったが、3000個生産したうちの100個しか売れなかった。在庫の山に危機感を感じ、昨年12月に980円に値下げするとネット上で話題になり、当日に300個売れたという。「作ったからには世の中に出ないと。使われないのはあまりにも残念なので。でも原価割れもいいとこです」(浦上さん)

 値下げ前にYUREXを買った人には申し訳ないという思いもあるため、特典として“トップユスリートの証明書”をプレゼントする予定だ。「YUREXはアートであり、コンセプトに共感して買うイメージ。買って頂いた方は、素晴らしいセンスをお持ちだと思います」と浦上さんは力説する。

 今年度の「文化庁メディア芸術祭」では、エンターテイメント部門で、「ドラゴンクエストIX 星空の守り人」などとともに審査委員会推薦作品に選ばれるなど評価も得ているが、追加生産する予定はない。在庫が無くなれば販売終了だ。

 究極の無駄に終わるかもしれないが、5年先を行くYUREXを手に入れて、クールでシュールな世界を体験したい人は急いだ方がいい。

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