iELECTRIBEのベースになっているのは初代のELECTRIBE・Rを改良したELECTRIBE・R mk-II。しかし、ほかのモデルから持ってきた機能がいくつか、iPad版で追加された機能もかなり多い。そのあたりについて説明してもらった。
「見た目でいうとValve Forceをつけたというのがあります」と福田氏。中央上部に大きく位置している真空管アンプのシミュレータだ。「ヒップホップのパターンにかけるとかなりいい感じに歪んでくれる」と福田氏は勧める。この真空管シミュレーションは、同社が扱っているギターアンプメーカーのVOX社と共同開発したJamVOXという製品の技術を使って、忠実に再現している。
細かいところでは、PCMの音源が、これまでは各パート1種類だったのが、4種類まで出せるようになった。特にリアル系のスネアで効果を発揮するという。また、いままでは1パートにつき1パラメータしかかけられなかったモーションシーケンスを全パラメータにかけられるようになったことで、複数のパラメータをグリグリ動かしたものが、画面上で再現される。ステップ毎にエフェクトをオンオフできることによるバリエーションの変化も効果絶大だ。
リアルタイムでの変化をつけやすいよう、パターンの任意の小節だけループさせたり、パターンチェンジの変更を終了時ではなく任意のポイントで行えるようにもした。うまく使えば、ここだけフィルインしたいというときにワンボタン操作で実行できる。ユーティリティからムーブデータという機能を使うと特定のサウンドのステップをずらすことができるので、変則的なビートを手軽に構築する裏技も使える。
このようにハードウェア版になかった機能が満載されているため、既存モデルのユーザーにとっても楽しめるつくりになっている。しかし、これまでのハードウェア版ユーザーが苦労せずに使えるようにするためのユーザーインタフェースの作り込みが重要になるはずだ。
そこでどうしても聞きたかったポイントが、ノブをどう操作するかについてだ。
ノブをつまんで回すユーザーインタフェースは使いにくいんじゃないか、スライダー方式でないと操作が難しいのではないかという意見が発売後に散見された。
実際、2本指でひねることで角度を調整するようなインタフェースについての検討もしたという。2本指ひねりを使うとまさに回しているようなインタフェースになるのだが弱点もある、と開発担当の井上和士氏は指摘する。「中央のエフェクト切り替えノブだといいんですが、ほかの小さなノブでは無理でした。つまむジェスチャはどうしても指を立てる動作になるので爪を短く切って操作してもらう必要もありますし……」
このため、1本指をノブの周りに当てて回す操作性にとことんこだわった。指を回したときにスムーズに追従するようになっているだけでなく、ただノブの真ん中を押しただけだと動かないという、誤動作を避ける仕組みになっている。細かい調整も可能だ。上下、左右にフリック操作すると、1つずつ値を変えてくれる。
DAWでのマウス操作に慣れた人向けに、スライダー的に上下方向にスライドさせて値を変えるインタフェースも選択できる。デフォルトではロータリーだが、スライダー方式のリニアに変更すれば、「回す」操作ではなく、「上下方向にスライドさせる」インタフェースで操作が可能だ(Settings→Knob Operationで選択可能)。
実際に操作してみれば、指先だけでも細かいコントロールができることが分かるはずだ。
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