米Googleが5月21日に発表したテレビ向け新プラットフォーム「Google TV」は、来年夏にオープンソース化する計画だ。閉鎖的だったテレビ向けネットサービスをオープンにし、多様なコンテンツホルダーや開発者が参加できるようにしたいという。
「スマートフォンがモバイルに与えたような変化がテレビにも起きることを期待している」と、Google TV担当プロダクトマネージャーのリーシー・チャンドラー氏は話す。
Google TVは、ネット機能とHDMI端子を備えたAndroidベースのテレビ向けプラットフォームで、「テレビとWebのエクスペリエンスをシームレスに融合する」(チャンドラー氏)狙いで開発。テレビとWebが分離していた従来のテレビ向けネットサービスと異なり、ユーザーはテレビかWebかを意識せずに一元的に楽しめるという。
画面上のツールバーの検索窓にキーワードを入力すると、放送中のテレビ番組や、今後放送予定の番組、録画した番組、WebサイトやWeb上の動画などを横断検索できる。お気に入りのテレビチャンネルやWebサイトを登録できる機能、よく見る番組やWebサイト履歴からおすすめのコンテンツを紹介するレコメンド機能も備える。
ピクチャーインピクチャー機能を使い、Webブラウジングしながらテレビを見ることも可能。Webブラウザをメイン画面に、テレビを小画面に表示し、野球中継を見ながらチームの情報をWebでチェックする――といったことができる。
入力にはソフトウェアキーボードとハードウェアキーボードが使える。ソニーの対応テレビ向けには、「キーボードとリモコン、マウスを融合したような入力端末」を開発中。スマートフォンをリモコンにできる機能もあり、Android端末とiPhone向けリモコンアプリを提供する計画だ。
Google TV専用の広告などは「計画していない」が、Web検索の際はPCからの検索と同様、検索広告が表示される。
テレビにWebを融合する試みはこれまでにもさまざまあったが、成功しているとは言い難い。チャンドラー氏はその理由として、テレビのWebプラットフォームが閉鎖的だったことを挙げ、「Google TVはユーザーにも開発者にもオープンだ」と強調する。
CPUにはIntelのAtomを採用し、OSはAndroid、WebブラウザはChromeで、Flash再生に対応。Androidアプリをダウンロードして利用できる。「アクセス先が限定されていることも多いテレビ向けWebブラウザと異なり、ChromeならPC感覚でさまざまなサイトにアクセスでき、サイトオーナーもテレビ向けコンテンツを容易に開発できる」
最初の端末として今秋、ソニーがテレビ「Sony Internet TV」とBlu-ray Discプレーヤーを、Logitech(日本ではロジクール)がセットトップボックスを、それぞれ米国で発売する。2011年には世界展開する予定で、「なるべく多くの国に出したい」が、地域などは明らかにしていない。
11年初期に、Google TV用Androidマーケットをスタート。ソフトウェア開発キット(SDK)の提供も始める。同年夏にはプラットフォームをオープンソース化し、「開発者は、Web技術を使ったさまざまな新しいサービスを、テレビ向けに提供できる」。テレビとセットトップボックスの接続プロトコルもオープン化する予定だ。
PCよりはるかに多くの人が利用しているテレビに進出することで、「インターネットをより多くの人に利用してもらうこと」がゴールという。
ネットがテレビを侵食していくのでは、という懸念は否定した。「テレビのコンテンツは優れており、影響力は大きい。ユーザーの選択肢は増えるが、テレビの影響力がすぐになくなるといったことはないだろう」
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR