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パンツ型眼鏡ふきに空飛ぶパンツ 作ったのは「50億人を感動させたい」玩具メーカー(2/2 ページ)

» 2010年06月04日 12時00分 公開
[小笠原由依,ITmedia]
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受けた反響は、「日本始まった」「考えたやつは病気」

photo スク水ホルダー

 クエスチョナーズの製品で初めて世に出たのは、スクール水着型の布製携帯ホルダー「スク水ホルダー」だ。紺色のスクール水着には名前とクラスが書かれた白い布が貼ってあり、水着からのぞく肩や太ももの部分は肌色の布で作られている。

 スク水ホルダーは、携帯音楽プレイヤーや携帯電話を入れるためのケースで、雑誌の付録として配布。よく見ると胸の部分に詰め物がしてあったり、スクール水着をめくって隠れた肌を見ると水着型に日焼けしていることが分かるなど芸が細かい。

 「あり得ないもの、人がやりたがらないことを率先してやろう」と作ったところ、ネット上で「日本始まった」「考えたやつは病気」と言われるなど反響は大きかった。

 その後出したパンツ型眼鏡ふきや、空飛ぶパンツを開発した際にも同様の反響があった。「世界に向けて冗談を投げかけたら、望み通り打ち返してもらえた気がする」。この3つの製品は印象に残っているという。

 直近の目標は、「面白いものにお金を注ぎ込める体制をつくること」。お金を稼ぐための製品とお金を稼げないかも知れないが面白いからやることをきっちり区別していくという。「最低限の生活がなりたたないと脳みそが働かないから」だ。

 企画のスタートから製品を出すまでに時間がかかることが同社の課題。ある程度会社を安定させるため、制作のスピードを上げようと考えている。「面白いものを継続的にスピーディーに出さないと世の中から忘れられる。製品のクオリティーを維持しながら、制作のスピードを上げたい」

面白いことに投資する機関を作りたい

 ある程度安定した基盤を作った上でやりたいことはたくさんある。

 1つは、「ロボット対ロボットでつぶし合う刹那(せつな)的なロボコン」だ。問題はスポンサー探しだという。「まともな企業ではスポンサーは難しい」と、やるとすれば関係者がお小遣いを出し合って開催することになるだろうという。

 このロボコンのように世の中の人が持つ面白いアイデアやプロジェクトに出資する機関も作りたいという。例えば、100円、200円といった小銭をネットユーザーから集め、機関が面白いと思うプロジェクトやアイデアを独裁的に決め、出資する。

 「『小銭やるから面白いことやれよ』という団体を作りたい。でもお金を集める手段がないんですよね」。投資すべきアイデアを独裁的に決める理由は「民主主義は聞こえはいいが何も決まらないシステム」だと思っているから。「誰が決めるか、という問題はあるだろうけど、この取り組みを一番やってみてほしいのはニコニコ動画なんですよね」

50億の感情を動かしたい

 企画でも製品でも藤岡社長がとにかくこだわるのは、人の後追いはしないということ。「フィギュアでも漫画でもテレビ番組でも、世の中にあるコンテンツはあまりに後追いのものが多い」という。

 「確実に売れる方向ではあるけれど、何のために企画するんだろう、面白くないじゃん! と思う。例えば、同じ1000万個売れたとしても後追いの製品と、そうでない製品は目立ち方や記憶への残り方が全然違うと思う。売れるからといって同じキャラクターで何十種類ものフィギュアが出ているのを見ると、10年後誰がその中の1個を覚えてるのかな、と考えて悲しくなる」

 最終的な目標は50億人を泣かせて歴史に名を残すこと。「今のクエスチョナーズの規模でパンツ型眼鏡ふきなどを作っていても、半年の間、秋葉原で話題になるかならないかというレベル。いずれ『50億の人が泣きました』という状態にまで持っていきたい。泣くことには限らず、笑えてもいいし、怒れてもいいし、泣けてもいい。50億の感情を動かしたい」

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