まずはVY1と、よく比べられる初音ミクと交互に歌わせてみたもの。
どちらも後半の速いパッセージを難なくこなしているのが分かると思う。発音はVY1のほうがはっきりしているが、ミクも当然ながら滑舌はよい。最後はVOCALOIDが不得意な「いー」を低音でやってもらったが、こちらも特に問題はない。
声質は交互に聞くと、はっきりと異なる。VY1の声色はミクと比べるとちょっと硬め。逆に、デフォルトミクは柔らかさが際立っている。ミクが広く受け入れられた大きなポイントはここだったのかもしれない。声色でいうと、VY1と最も近いミクは、Append Solidあたりだろう。Light、Vividといった、Appendミクのハキハキ系グループのどこかに位置するような気もする。
とは言っても、初音ミクAppendは前述のとおり、女声VOCALOID 2のほぼ半分を占めている。そのどこかに近い音があっても不思議ではない。それよりもそこに求める声があるかどうかがポイントなのだろう。
ついでに、日本女声VOCALOID 2をすべて比較してみた。VSQは同じだ。まずはわが家に届いたばかりのLilyから。同様に初音ミクオリジナルと比較した。
続いて、ソフトで人間らしい歌声で最近人気急上昇中のシンデレラ、メグッポイドと、初音ミクのソフトな分身である初音ミクAppend Softを続けて。
ちょっと声質が似ている部分がある、SF-A2開発コードmikiと、鏡音リンAct.2を交互に試奏したのがこちら。
設定年齢的には大きく異なるものの、ハスキーな点が似ている、歌愛ユキと巡音ルカも比較した。
初音ミクAppendのSoft以外の5種類を除けば、これで現行のVOCALOID 2女声VOCALOIDはカバーしたことになる。ガチャッポイドは性別もよく分からないのでここでは除外しておく。
ヤマハへの取材で、VOCALOIDの種類が多くなりすぎているという批判があると話を向けたところ、「ギターだっていろいろなモデルがあるじゃないですか。Fender Stratocaster、Telecaster、Gibson Les Paul、SG、もちろんYAMAHA SGも」という答えが返ってきた。
こうして並べてみると、各VOCALOIDの歌声はギターの音色の違いよりもはっきりと分かるはずだ。
これまで使ったところだと、VY1はトリッキーなところがまったくなく滑舌とバランスがよい歌声といってよい。女性ボーカルのスタンダードとして初音ミクを置き換えることを意図しているかどうかは知らないが、「女声VOCALOIDはこれ1本」と決めるときに候補に入ってくるのは間違いないだろう。
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