ディー・エヌ・エー(DeNA)の南場智子社長は11月1日に開いた決算会見で、iPhone/Androidを中心としたスマートフォン向けゲームSNSで世界一を目指し、2014年度に今年度見通しの4倍となる連結売上高4000億円を狙うと話した。米国のiPhoneゲームメーカー米ngmoco買収などで着々と足場を固めており、モバゲータウンで培ってきたノウハウは世界市場でも通用するとみている。
南場社長はソーシャルゲーム市場のリーダーとして、DeNA(モバゲータウン)とFacebook、zyngaを挙げる。DeNAはユーザー数ではほか2社に劣るが、ARPU(加入者1人当たりの売上高、Facebook、zyngaは推定値)はDeNAがzyngaの15倍、Facebookの30倍と「ほかを圧倒している」ため「世界で注目されている」という。
「海外市場はFacebookがあるから無理じゃないかと言われるが」、ゲーム目的のユーザーが集まるアバターベースのモバゲータウンは、ネット上で完結した人間関係「バーチャルグラフ」を構築しているが、Facebookは実名ベースで知り合い同士がつながる「ソーシャルグラフ」が強み。両者は住み分けられ、競合しないと南場社長は話す。
「Facebookと競合になるとは思っていない。実際、日本では、(ソーシャルグラフが強い)mixiと(バーチャルグラフが強いモバゲータウンは)共存している。海外ではゲームプラットフォームとして強力なバーチャルコミュニティは不在だ」
特にiPhone/Android上のソーシャルアプリは商機が大きいとみており、まずはスマートフォン市場を攻略する。米国のスマートフォン向けゲーム市場にはzyngaなど大手も参入しているが「ソーシャル性が不十分なゲームがほとんど」。日本の携帯電話で培ったソーシャル性のあるゲーム開発や、バーチャルグラフをベースにしたコミュニティー運営ノウハウが強みになるとみる。
スマートフォンを中心とした世界進出への足掛かりとして、ゲームコミュニティープラットフォーム「plus+ Network」(1200万会員)の運営やiPhoneアプリ開発を手掛ける米ngmocoを子会社化。「plus+ Network」の1200万会員や、スマートフォン向けゲーム開発を効率化する開発エンジン「ngGame」(開発中)を手中に収めた。
買収額は最大で4億300万ドルと巨額だが、「ngmocoは、当社が欲しかったものをすべて持っており、願ってもない買収」と南場社長は強調。特に、AndroidとiOS向けのゲーム開発を効率化するというngGameは、スマートフォン向けゲーム市場の攻略に不可欠とみている。国内でもスマートフォン対応を急ぎ、今年度中にはモバゲータウンのスマートフォン版をリリースする計画だ。
中国など英語圏以外にも進出する考え。「下から積み上げた数字ではないが、南場さんの気合いとして」2014年度の連結売上高4000億円、国内・海外売り上げを半々の比率にする――という目標を掲げる。
10月7日に正式スタートした「Yahoo!モバゲー」の会員数は、10月28日現在で84万会員。年代別で見ると、10代が15%、20代が29%、30代が56%と「ARPUの高い30代以上を狙うという目標に合致した滑り出しで、間違いのない一歩を踏み出した」。今後は、会員登録フローを簡略化したり、ゲームをブラッシュアップするなど改良を重ね、会員数拡大を図っていく。
携帯電話向けモバゲータウンでも「大人のモバゲー」を打ち出すCM展開で30代以上のユーザーを開拓。ユーザーの年齢構成は30代以上が35%に拡大し、収益拡大の原動力になっている。
同日発表した7〜9月期の連結決算は、売上高・営業利益ともに4四半期連続で過去最高を更新。売上高は前年同期比3.2倍の271億円、営業利益は4.4倍の136億円、経常利益が4.3倍の134億円、純利益は4.5倍の76億円だった。
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