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電子ペーパーもカラー化へ ブリヂストン「AeroBee」、E Ink「Triton」FPD International2010

» 2010年11月11日 19時35分 公開
[ITmedia]
画像 ブリヂストンの電子ペーパー端末

 フラットパネルディスプレイの総合技術展「FPD International2010」(11月12日まで、幕張メッセ)では、モジュールから応用製品まで、電子ペーパーの最先端が集まっている。ブリヂストンは、電子ペーパーの新ブランド「AeroBee」と、端末の試作品を披露。中国Hanvonは、E Inkのカラー電子ペーパー「Triton」を採用した初の端末を展示している。

 「AeroBee」は、切り替えの速さが特徴のブリヂストンの独自技術「QR-LPD」を使った電子ペーパー事業の新ブランド名。QR-LPD自体は電子棚札ですでに実用化しているが、AeroBeeという新ブランドのもと、電子書籍端末やデジタルサイネージなど活用範囲を広げていくという。

 QR-LPDは粒子と液体の中間的特性を備えた「電子粉流体」を2枚のガラス基板の間に封入し電圧をかけると、ハチ(Bee)のように空中を浮遊して高速で移動、表示を切り替える仕組みだ。E Inkが採用している電気泳動方式(液体中を粒子が移動する方式)に比べ、切り替えの速さは約300倍という。

 粉流体を顔料で着色することでカラー表示(4096色)に対応。電子粉流体は帯電性が高く、電子ペーパーは電源を切っても約3年間は表示が変わらないという特徴もある。

画像 デジタルサイネージでの応用も

 ブースでは、A4サイズのカラー端末を展示。新聞や問診票の画面に、専用ペンで書き込めるようになっていた。ディスプレイに光沢パネルを採用していたこともあってか、新聞紙面のカラー写真もかなり鮮やかに表示されていた。

 文字を記入すると、ペンの動きから遅れることなく線が表示されており、かなりスムーズな印象だ。端末の実用化は未定だが、銀行の渉外担当者がアンケート回収などに使う実証実験を現在進めてるという。A3サイズの電子ペーパー端末を9枚並べ、1枚の画像を表示するという、デジタルサイネージを意識したデモも実施していた。


画像 Hanvonの端末
画像 書き込みもOK

 Hanvonは、E Inkのカラー電子ペーパー「Triton」を採用した初の端末を展示している。9.68インチで、重さは554グラム。テキストやPDFファイル、画像などを表示できる。専用ペンを使って操作することも可能。記者も実際使ってみたが、ペンの反応が遅く、スムーズとはいえないように感じた。

 Tritonは、16階調グレースケールに加えて「数千の色」を表示できるが、Hanvonの端末に表示していた写真は、AeroBeeと比べると色がくすんでいる印象。カラー化技術は発展途上のようだ。

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