松尾:単にオーディオファイルだけじゃなくて、セッティングデータまでダウンロードして持って来れるじゃないですか。両方できるというコンセプトはまだないですよね。iShredとかGuitarStudioとか一部で実装しているiPhoneアプリはあるんですけど、曲として成立するレベルではないし、iPhone以外では聴くことができない。
佐野:iMS-20のガワはキャッチーなんで刺さっている人は多いんですけど、SoundCloudの部分も同じくらいキャッチーだというのがなかなか伝わっていないんじゃないかと。「あ、ダウンロードできるんだ。アップロードできるんだ」くらいな。
実際に自分でやってみると、シンセからネットに直結してる感じがあるんで。開発中は、アップロードしたいがために強引に音を作る、みたいなことがありましたね。本当にネットの出始めのころってそういう感覚があったじゃないですか。ネットをやりたいためにコンテンツを強引に作る、みたいな。そういうところがすごくいいなあ、未来がある、って。
一般の人がiMS-20で普通に作った曲をブラウザで開いて普通に聴けて、だけど実は中にデータがいて、それをやりとりするって、なんか秘密結社っぽくありません?
松尾:そこを意識しないでできちゃう。
佐野:そうなんですよ。
松尾:MS-10のときって、マニュアルの後ろにある設定図にパッチなんかを手書きして残したりしてましたが、交換まではしなかった。DS-10ではデータの1対1の交換まではできた。でもその先はできなかった。楽器としてはすごくレガシーだけど、形態としてはすごく未来、という。
福田:そのギャップが面白いですよね。
佐藤:SoundCloud部分は、佐野さんからけっこうアドバイスをいただいて、エンジニアのモチベーションが上がりましたね。
松尾:最初からSoundCloud一択だったんですか?
福田:自分たちでサーバを用意したりとかいろいろな選択肢があったんですが、おもしろいところといっしょに組みたいというのがあって。
佐藤:これは僕らも彼らも初めてのことじゃないですか。開発してもらわなければいけないことも多いし、簡単に実現できた機能ではないですよね。
福田:SoundCloudの担当してくれた方がすごく熱心で助かりました。
佐藤:SoundCloudでiMS-20グループも立ち上げてくれてるんですよ。
松尾:SoundCloudはもともとパネルやシーケンス、パッチのデータなんかを置ける仕組みだったんですか?
福田:それは今回、このために開発しました。オーディオとデータを別々に送るんです。実際に自分で初めて使ってみるまではこんなに面白くなるとは思ってなかった(笑)。
佐藤:僕は完全に思ってましたよ(笑)
岡宮:前に飲んでるときから佐藤さんおっしゃってましたよね。
松尾:そのデータにPCのDAWからアクセスできるようにはならないんですか? シーケンスデータを読み込んで、とか。
佐藤:その世界で完結する、という制限も楽しいじゃないですか。
松尾:データはMIDIじゃないんですか?
福田:MIDIじゃなく独自フォーマットです。
中島:中の解像度はもっと細かくなっています。
福田:解像度は128ではなくパラメーターによって異なりますが、およそ1000段階です。だからこそ、このアナログのなめらかな感じが出せるんです。
松尾:iELECTRIBEのときは違ったんですか? 進化した?
福田:もともとKORG Legacy Collectionがそういう仕様でした。あれもMIDIでコントロールすると128段階なんですけど、オートメーションなどを使うと、DAW上ではその細かさを使えるという仕組みなんです。それをそのまま持ち込みました。
中島:アナログは解像度がほぼ無限じゃないですか。それを再現するために解像度をかなり上げてるんですね。
松尾:ところで、SoundCloudにあがっているデモ曲がびっくりするくらいのクォリティでびっくりしてるんですが。
佐野:今回のデモソングももうやりすぎってくらいできてきて、止めようがなくなっちゃって(笑)。あれ、曲担当の皆さんにせーの、で作ってもらったんですよ。途中、戦いみたいになってましたね。すごい楽しかったですよ。
佐藤:あのデータ集めるのもSoundCloud使っていたじゃないですか。あれがまたよかったな、と。
佐野:人のがアップされていると気になる。それであおられて(笑)
佐藤:デモソングを制作したメンバー間でお互いの曲を聴くことができる。おかげで全曲すばらしい曲になりました。
佐野:ちょっと密度が濃すぎるな、と思ったんですけどね。すごい凝りようなんで。面食らっちゃわないかな、とか思ったり。
岡宮:脅しが効き過ぎみたいな(笑)
佐野:それをやめてくれ、と言うわけにもいかずで(笑)
松尾:動画への書き出しと投稿もできるといいんですけどね。
佐野:それだとYouTubeになっちゃいますね。(笑)
佐藤:動画機能を組み込んじゃうとシンセがまるごとなくなってドラムマシンだけになっちゃいますよ(笑)
松尾:でもこれ、すごくライブ映えしますよね。
佐野:ちょっと悔しいですね。DS-10を作っている自分らからすると(笑) こっちのほうが演奏するとかっこいいですよ。
松尾:DS-10ってライブで使えるようになるとは最初、想像できなかったですよ。
佐野:ぼくもそうですよ。ただ、ステージで使っている方を見てると、ちょっと派手さに欠けるな、みたいな。なにも知らない人にとっては何をやっているのかぜんぜん分からない。でも、iMS-20はやってる感があるんでいいなあ、と。普通にカメラで後ろから押さえても見えるじゃないですか。
松尾:Denkitribeさんみたいに、譜面台に乗せて逆から弾く、というのもいいですよね。
佐野:Denkiさん慣れてますからねえ。
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