1978年生まれのアナログシンセサイザー「KORG MS-20」をiPadアプリ化した「KORG iMS-20」。このほどバージョンアップを果たし、CoreMIDIへの対応でMIDI機器との連携が容易になった。iMS-20の開発経緯やその他の機能について、コルグと開発協力に当たったDETUNEの開発者に聞いてみた。
出席者は、前述のコルグ 企画の佐藤隆弘氏、開発の福田大徳氏、中島啓氏、そして、DETUNEの岡宮道生社長、佐野信義開発本部長。
DETUNEとコルグが組むのは今月3日に発売されたニンテンドーDS用ソフト「KORG M01」に次いで2製品目だが、DETUNEの岡宮、佐野、光田康典の3氏はニンテンドーDS用ソフトの「KORG DS-10」を別会社で企画、コルグと協業していた経緯がある。まずはプロジェクトが始まったきっかけを聞いた。
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松尾:iMS-20の企画はそもそもどう始まったんですか?
佐藤:なんとなしに話をしてて(笑)。
岡宮:もともとKORG DS-10をやった後、iPhoneで、あの流れでやろうという話はありました。それからいろんなアイデアが出たんですが、いまはそれは難しいかなという話になって。iPadが出た時点で佐藤さんから話があって、じゃあiPadでと。佐野は昔からDS-10のプロフェッショナル版があるといいよね、という話をしてたんですよ。
佐藤:その話でつながってやることになったんですよ。
松尾:そのDS-10プロフェッショナル版という構想がもともとあった……。
佐野:あったらおもしろいね、というだけで、直結したというわけではないです。
松尾:DS-10 PLUSとの関係は?
佐野:それはないです。あれはDSiで作りたい、というところからなので。
松尾:佐藤さんから話があったのは、iELECTRIBEの前あたりですか?
佐藤:会っては「こういうふうにしたい」「ああいうふうにしたい」とか話をして、それをだんだんまとめていって、という感じです。
松尾:iELECTRIBEとiMS-20は並行して進められていた?
佐藤:商品の企画自体は並行して進めていました。iELECTRIBEのほうが先ですが、当時からMS-20をターゲットにしたいと思っていました。
松尾:KORG Legacy Collectionに既にあったから?
佐藤:背景的にはそれもありますけど、MS-20、かっこいいじゃないですか。単純に(笑)。
松尾:それはDS-10のときにも言ってましたよね、佐野さん。
佐野:MS-20は買えなかったんですよ、その頃(笑)。
*「もちろんぼくもMS-20がほしかったんですけど、お金がなくて、お年玉が足りなくて、(MS-10の)中古を2万円で買いました」
佐藤:ぼくはMS-20オーナーなんですよ。買ったのは80年代の終わりくらいですね。デジタル全盛のころですね(笑)。
松尾:DS-10プロと、MS-20をiPadに持っていきたいというお互いの気持ちが一致してビジネスでやろうということになったのはいつごろですか?
佐藤:なんとはなくですね(笑)。こっからビジネスでってところはなくて。
岡宮:なんか、面白そうだからってことで。
松尾:そのころ会社としてのDETUNEはあったんですか?
岡宮:会社としてのDETUNEができてから、というのはありますけど、前の会社(AQインタクティブ)でDS-10をやっていたときから話はしていました。
佐野:飲むたびにでてくる話ですよね(笑)。
※KORG DS-10の企画も似たような始まり方をしている「もとは飲み屋のバカ話なんですよ」
岡宮:どこまでが妄想で構想でというのがわかんない(笑)。
佐藤:それを形にできるかどうかっていう、そこだけですね。
佐野:もちろんDS-10プロだってことを言っていたころは、iPadも出てなかった。iPhoneでっていう話もあったにはあったんですけど、やっぱりちっちゃいな、みたいな。で、けっきょくあまり盛り上がらず。実際に動き出したのはDETUNE設立後ですね。時期的には。
佐藤:そういう話をゴールデンウィークを使って初めてまとめたのがこの企画書です。それまでは手書きでぐちゃぐちゃなやつでしたけど。ここでDETUNEさんとやる合意ができたんで、福田を呼んで、こういうのをやりたいんだけど、と。福田はおぼろげながら分かってはいたんですけど。KORG Legacy CollectionのMS-20を移植したらどのくらいパワーを食うのかとか、試算を始めてもらいました。
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