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iPadでアナログシンセの名器復活! 「iMS-20」開発チームに聞いてみた(6/6 ページ)

» 2010年12月20日 16時34分 公開
[松尾公也,ITmedia]
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オリジナルMS-20、SQ-10開発者、三枝氏からのコメント

佐藤:iMS-20について、オリジナルのMS-20とSQ-10の開発者である三枝(三枝文夫取締役)からコメントをもらってるんですよ。

photo MS-20

 「初めて触れたときに驚いた。30年前にやりたかったことが全て実現されていた。当時、1977年11月か12月、ブロックダイアグラムを描きながらリバーブを基本ブロックに入れられたらと思っていました。パッチのメモリーよりも願望としてははるかに上位でした。でも当時の技術では夢のまた夢。iMS-20で実現できてうれしいです。一方、楽器との1対1の関係、つまり、買って、うれしくて、枕元に置いておける楽器になれるのだろうか、ということも思いました。iMS-20が物としての楽器導入のきっかけになってくれたらうれしいですね」

佐野:いいですねー。

松尾:どのあたりから見せていたんですか?

佐藤:オリジナルのSQ-10を作ったのは三枝だったので、ステップ数を12から16にするときに許可をもらいに行って(笑)

松尾:当時の開発者がいらっしゃるということ自体がすごいですよね。

佐藤:おそるおそる聞いてみたんですが、「んー、いいんじゃないの」という軽いノリでOKもらいまして。ステップ数が12である理由はどういうとこですかね、というとこから入っていって……。三枝もiPadユーザーで、新しいものが大好きなんです。新しいデバイスが出たら、いの一番に買いますからね。実際に渡したのはファイナルくらい、最後の段階です。

松尾:MSシリーズは30年続いたわけですからね。これが30年続くのか、という。世代を超えても続いて行くという電子楽器は、これが初めてじゃないですか? 形態を変えながら。

佐藤:何回も同じもので商売するってことですか?(笑)。

松尾:もちろん、いい意味で(笑)。

楽器プラットフォームとしてのiPadについて

松尾:iPadを楽器プラットフォームとして見た場合、どうですか? iELECTRIBEのときと状況は変わりましたか?

福田:CoreMIDIやCoreAudioが搭載されて、楽器としての可能性がより高まっていますよね。

佐藤:iPadの使い方のひとつとして、楽器という分野が確立してきていると感じます。そこをまだまだ伸ばして行きたいですね。

佐野:iPhoneだと楽器として考えたとき狭すぎる。でもiPadが出て、ここまでスタンダードになったタッチパネルのアイテムというのは初めてなので、そういう意味では楽器として使うことを考えると可能性はありますよね。

松尾:今回はベースとしてMS-20というのがあったわけですけど、iPadを使ったまったく新しい楽器とか考えられますかね?

佐野:まったく新しい、ではないですが、iM01とか? 買ってくれるんだったら今日にでもプロジェクトスタートで(笑) でも、DSでできたからすぐにiPadに入れられるか、というと難しいですよね。特にインタフェースの部分で。

松尾:M01のカオスパッドのコードプレイはいいですよね。

佐野:KAOSSはまだいいのですが、他の画面をどう昇華していくか。やはり指の太さがね……それに比べるとDSのスタイラスペンは、異常に細いんで。全体的に予想以上にでかいものになりますね、きっと。

佐藤:iPadでピアノロールってかなり難しくないですか?

松尾:難しいですね。かなりインタフェースを変えないと。押さえるポイントで移動にするのか長さ変更にするのか。

佐野:いろいろ考えないと。指は太いので、指の後ろは見えないじゃないですか。

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オリジナルのMS-20が発売されたのが1978年。2004年にこれをソフトシンセ化したKORG Legacy Collectionが登場。

名機そっくりのコントローラが付いたソフトシンセ〜 「KORG Legacy Collection」の魅力とは? 〜

 さらにそれをオプションとしてハードウェアシンセに組み込み可能にしたOASYSがリリースされたのが2005年。

コルグのOASYS製品情報

 2008年にはMS-10をコンセプトにニンテンドーDS用にリメイクしたKORG DS-10が、ニンテンドーDSiに最適化された強化版のKORG DS-10 PLUSが2009年に。

KORG DS-10強化版「DS-10 PLUS」 DSiなら2倍のパワフルシンセに

 そして、2010年4月。MS-10/20で使われたアナログシンセサイザーの回路をハードウェアとして再現した手乗りアナログンセ「monotron」が発売。11月にはiPad版のiMS-20が登場。モバイルになり、クラウドを従え、2004年リリースのUSBフィジカルコントローラもつながるようになった。初代から5回も転生を繰り返したMS-20/10。次はどのような形態に変わるのか。そしてiPadでコルグが何をやるのか、興味は尽きない。

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