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AndroidタブレットがiPad並に成功するには――クールなハードだけじゃだめ?

» 2011年02月10日 07時30分 公開
[Michelle Maisto,eWEEK]
eWEEK

 AppleがiPadで作り出し、支配している市場に乗り込もうとしているAndroidタブレットは、「十分に成熟した」ようだと、DisplaySearchの上級アナリスト、リチャード・シム氏は2月4日のリサーチノートで述べている。

 このリサーチノートは、2月2日のGoogleの「Honeycomb」イベント後に執筆されたものだ。このイベントの参加者は、タブレットに最適化されたAndroid 3.0 HoneycombをMotorolaのXoomタブレットで使ってみることができた。大きな画面でAndroidを使えれば、「グラフィックがより使いやすくなり、マルチタスクでメディアを利用する機会が増える」とシム氏は語っている。

 多数のiPad対抗デバイスが、業界大手――Research In Motion(RIM)、Motorola、PC市場最大手のHewlett-Packard(HP)など――から登場しようとしている今、残る疑問は、これらのタブレットをどうやって売るべきかだと同氏は言う。

 「これはAndroidタブレットの最終的な成功に欠かせない要素だ」と同氏は語る。

 シム氏はNetbookを例に挙げてこの点を強調している。結局、携帯キャリアはNetbookをうまく売れず、返品率が高くなった。問題の一端はテクニカルサポートにあった。顧客はキャリアか、デバイスメーカーか、OSメーカーのどれに問い合わせればいいのか分からなかったのだ。

 「(その答えが)キャリアであれば、キャリアにどれだけ問題を解決する能力があるかという疑問が出てくる」とシム氏。「キャリアのテクニカルサポート担当者は基本的に、対応策として、ユーザーにデバイスの電源を切って入れ直すよう指示するように訓練を受けている」。キャリアへの契約料金を避けて、Wi-Fiだけのデバイスを購入したユーザーの問題もある。

 つまり、タブレットはスマートフォンよりもPCに近いのかということだ(携帯電話と言うには大きすぎ、タブレットと言うには小さすぎる5インチの初代のDell Streakは、両方のカテゴリーに入れられるが、どちらにもぴったりはまらないいい例だ)。もしもPCに近いというのなら、Dell、HP、Acerなど「スマートフォンを作って売ろうとして失敗した」大手PCメーカーを考えてみるといいとシム氏は指摘する。PCを販売する小売りチャネルは、スマートフォンには適さないと同氏は説明する。通常、小売店がスマートフォンの音声・データ通信料から継続的に売り上げを得ることはないからだ。

 GoogleはNexus Oneで新たな戦術に挑戦し、デバイスを提携キャリアのT-Mobileからではなく直接販売しようとした。だがこの試みは悲惨な結果に終わった。

 タブレットはどの流通経路にもぴったり合うわけではないため、どう売るのがベストなのかという決定は難しくなる。

 「われわれは既に、Samsung Galaxy Tabでタブレットの流通経路の混乱を目にし始めている」とシム氏は語る。「Samsungは11月の発売から約200万台を出荷したと言っているが、実売はそれほどではないようだ」

 こうしたことが問題にならない企業はAppleだと、リサーチノートには記されている。iPadの成功をまねるには、クールなハードとタブレットに最適化されたソフトだけでは足りないということだ。

 「AppleのiPadは小売りで――直営店で――よく売れているが、Appleの店舗体験を再現しているところはない」とシム氏。「Appleの成功に迫るには、魅力的な販売経路を作り出す必要がある」

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