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コンプガチャ問題は一気に終わるのか DeNA、グリーら相次ぎ廃止宣言(2/2 ページ)

» 2012年05月09日 19時20分 公開
[ITmedia]
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 株式市場がパニック売りに走ったのは、コンプガチャ廃止の影響が見えなかったためだ。

 DeNAの守安社長は、コンプガチャ廃止が業績に与える影響は「かなり読みづらい」と話す。現状では「何が『コンプガチャ』に当たるのか分からない」上、「ガチャでアイテムを購入しているユーザーのうち、コンプしたいから回しているユーザーがどれほどいるのか、ゲームタイトルやイベントごとに異なる」ためだ。このため、同社は2012年度の業績予想開示を現時点では見送っている。

 コンプガチャ問題の影響は既に出始めており、4〜6月期に前四半期比で50億円分のモバコイン消費が増えると見込んでいたが、現状ではこの予測が不透明に。影響の結果、7〜9月期が「底になる」とみているが、対策を打てれば再び成長できるとも踏んでおり、11年度の4〜6月期、7〜9月期を下回るようなことはないのでは、と考えているという。

 元々DeNAはコンプガチャを内製タイトルにはほとんど取り入れておらず、昨年10〜12月期に投入した「ガンダムカードコレクション」が初めてといい、「ガチャはモバコイン(Mobage内仮想通貨)消費の中心ではなく、影響は極めて限定的」。プレイヤーがチームを組んで同時に戦う「リアルタイムチームバトル」や、多数のプレイヤーが同時アクセスして強力なボスを倒す「ソーシャルレイドボス」などの導入で回復アイテムなどの購入が増えており、今後はこうしたタイプのゲームの割合を高めていく考えだ。

photo DeNAが考える新たな方向性=決算説明会資料より

 守安社長は「カード型ゲームがだめになるのではなく、ガチャやコンプガチャに頼らない、新たな進化の方向性を考えている」と説明する。「社内ではコンプガチャをどうしていくのかを前向きに考えている。短期的にはインパクトはあると思うが、中長期的には新しいジャンルを作っていけると考えている」という。

 だがタイトルによってコンプガチャ依存度は異なるため、サードパーティによっては高収益の反動が大きくなりそうだ。守安社長は「サードパーティは影響が大きいこともあり、事前には知らせていない。今後、どういうタイミングでどういうガイドラインになるのかきっちり説明していく」とした。

 相次いでコンプガチャ廃止に動いた業界だが、松原仁消費者相がソーシャルゲームについて「極めて射幸心をあおるということは間違いない」と述べ、福島長官は来週にも消費者庁の見解を公表する方針を明らかにしている。一般紙を含むマスコミがソーシャルゲームに向ける視線は厳しく、このまま社会的な批判が高まれば、ソーシャルゲームへのユーザーのマインドも低下していく可能性もある。業績への影響が「コンプガチャの終了」で済むのかどうか、不透明だ。

 ことここに至ったのは業界の自浄能力が働かなかったためだという指摘は多い。DeNAの守安社長は「市場を引っ張ってきたのはDeNAとグリーだが、グリーとは訴訟もあって協調的な動きが全く取れていなかったのは反省すべき点だ」と述べた。今後は両社など6社が参加する連絡協議会が月内のガイドライン策定などを目指すが、問題は本当にこれで終わりなのか。急務となった新たなビジネスモデルの構築を含め、ソーシャルゲーム業界は岐路に立っている。

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