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菊ねえちゃん論──「リンかけ」と「星矢」と女性の社会進出部屋とディスプレイとわたし(2/5 ページ)

» 2012年11月22日 16時44分 公開
[堀田純司,ITmedia]

 この構図が自覚的な意図を持って描かれた証拠に、作中、もう1組の姉と弟が登場したことがありました。全国大会に出場した竜二が、対戦した相手。新潟代表の河井武士とその姉の貴子さんのコンビです(ちなみに今「おっ」と思った方もいらっしゃると思いますが、河合の姉の名前は単行本の登場人物紹介でも「河合の姉」としかクレジットされていなかったのですが、その後、続編「リングにかけろ2」で判明しました)。

 こちらの姉弟は、天才型の姉弟。弟の武士は音楽の天分にも恵まれた豊かな才能の持ち主で、全国大会でも最強の敵として登場します。そんな彼を育て挙げた貴子さんも菊ねえちゃんにひけをとらないボクシングの才能を持っていました。この貴子さんは、菊と竜二の姉弟についてこのように語ります。

かれらは

努力だけで

やっと ここまで

はいのぼって

こられた人間よ

 しかし、その後さらにこのように続けました。

むこうは

凡人でも

うしろには

天才がいることを

わすれるな

(ジャンプ・コミックス「リングにかけろ」9巻「燃えろ! 決勝戦」146ページ)

 うーん。なんとかっこいい対決の構図。結局、天才と“努力の天才”の対決は竜二が制し、貴子さんもおのれの敗北を受け止めることになります。まったくどうでもいい話で恐縮ですが、当時まだ幼かったにも関わらず、すでにツンデレの気があった私にとって、この貴子さんは初恋の人でした。

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