その最初の成果物がアニメイト秋葉原店に設置された、メイちゃん以外では初めてのMMDAgentベースのデジタルサイネージ「CeVIO Vision」だ。アニメイト池袋本店に2台目を設置する予定もあるという。
次の展開として4月26日にアプリ「CeVIO Creative Studio FREE」が公開された。これは、音声合成・歌声合成を手軽にできる無料のWindowsアプリケーションだ。Windows 7以降で動作する。
最初のバージョンでは、CeVIO Visionでも使われているキャラクター「さとうささら」のおしゃべりを日本語で入力して作成し、編集できる。元気、怒り、悲しみという3つの感情を始め、さまざまなパラメータを組み合わせて自由におしゃべりを構成することができるのだ。
複数トラックでパラメータを変えれば別人のように表現が変わるので、それらで会話をさせることもできる。いわゆるトークロイド的なことがこの無料アプリで簡単に行えてしまうのだ。FREE版は1プロジェクトで5分間という長さの制限はあるものの、保存もWAVへの書き出し(会話の個別書き出しもできる)が可能。
現時点でできるのはここまで。だが、その先がある。
無料版のバージョンアップにより、現在の「トーク」トラックに「ソング」トラックが加わる。これは、楽譜を読み込ませるだけで人間らしくリアルな歌声を聴かせてくれるSinsyをアプリにしたものと言ってもいい。
SinsyはWeb上のサービスで、MusicXMLという歌詞付きの楽譜データを読み込ませると、それをサーバ上で解釈して歌声のWAVデータとして出力してくれるというもの。2009年のクリスマスにニコニコ動画に投稿され、そのリアルな歌声に衝撃が走った。その後、使える歌手を増やし、英語、中国語の歌唱もできるようになるなど着実に進化してきたが、不満もある。ユーザーインタフェースだ。
楽譜を作成するというのはとてもハードルが高い。しかもMusicXMLを作成できるアプリも少ない。MIDIシーケンサーやDAWなどの一般的な音楽アプリのように、ピアノロールと呼ばれる形式で使いたいという要望が強かった。
「CeVIO Creative Studio FREE」のバージョンアップでは、さとうささらの歌声を「ソング」機能として追加する予定だ。音符の音階を決め、長さを調整して、歌詞を入れる。VOCALOIDやUTAUと同じようなユーザーインタフェースで入力できる。Sinsyと違い、その場で音も確認できる。ただし、出て来る音はSinsyと同様に、収録した歌手の歌い方がリアルに反映されたもので、ほとんど切り貼り感がない。これこそがSinsyで使われているHMM方式の特徴でもあるのだ。
もちろん、Sinsyで公開されている歌手の中にさとうささらはいないので、このアプリオリジナルとなる。FREE版で使える歌手はさとうささらだけになるそうだ。
パッケージ販売されるバージョンも開発中だ。こちらには、FREE版にある5分制限がなくなるほか、トーク(おしゃべり)できるキャラクターがもう2人加わる。
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