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超音波で無線通信を確立、情報流出させる新たな手段を実証

» 2013年12月04日 07時42分 公開
[鈴木聖子,ITmedia]

 超音波を使ってコンピュータ間で無線通信を確立し、マルウェアに感染させたシステムからデータを流出させる方法を実証したとして、ドイツの研究者が通信学会誌Journal of Communicationsに論文を発表した。

 発表によると、この方法ではオーディオ変調と復調を利用して、超音波周波数経由でコンピュータ間のデータ交換を行う「隠しチャネル」を確立した。これは、もともと水中通信用に設計された通信システムを応用したという。

 この秘密音響無線通信は、第3の無線機によって通信を中継するマルチホップ通信や、無線メッシュネットワークにも拡張できると研究者は説明する。コンピュータ内蔵のスピーカーとマイクを通信手段に利用して、密かにデータを流出させられることを実証したとしている。

 秘密音響メッシュネットワークを使えば、ボットネットなどの悪質なネットワークを形成して近距離オーディオ通信経由でアクセスすることも考えられるほか、マルチホップ経由でリモートからキーボードの入力情報を盗み出すことも想定できるという。

 音声信号を使った通信はコンピュータシステムの設計では想定されていないことから、この方法で攻撃されれば従来のセキュリティ対策は役に立たないと研究者は指摘する。

 対策として、低域フィルタやホストベースの侵入検知システムを使って音声入出力を分析する方法なども提言している。

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