STAP細胞そのものの実在についても疑われる事態だが、「STAPがあったかどうか、作れるかどうかは、調査委が扱う範囲を大きく超えている」(石井氏)とし、「科学者コミュニティーで決着を付けるべき」とする。
第三者による再現実験では、実験の初期工程である「Oct4発光」を確認したという報告があるが、全工程の再現に成功したという報告はない。今後は、研究チームの丹羽氏が全工程の再現実験を行うほか、理研はより詳細なプロトコルなどを公開し、科学者コミュニティーに対して追試を呼びかけていく。
また、Nature論文と、その後発表したプロトコルとで重要な部分が異なっている点については「著者が説明文書を作成している」(竹市氏)が、論文の撤回という問題が生じているため、「どう発表するかはまだ決まっていない」という。
論文内でSTAP細胞とされたものは混入したES細胞だったのではないかという指摘もある。「指摘は認識しているが、素人ではなかなか判断できない」(石井氏)とし、今後、調査の対象するかを含めて検討していく。
STAP研究チームは調査に協力的で、調査委が求めたデータなどは速やかに提出しているため、「証拠隠滅の恐れはない」としてラボのロックアウトなどは行っていない。ただ、「小保方氏は研究ができる精神状態ではない」ため、研究は事実上ストップした状態。3回目のヒアリング時には相当疲弊しており、「今週初めごろから小保方氏の精神状態があまり良くないと聞いている」(川合氏)ため、ヒアリングは中断している。
小保方氏からは「申し訳ないという言葉、反省しているという言葉を繰り返し聞いている」(竹市氏)という。また、「自分の気持ちをみなさんに申し上げたい」とも話しているという。
マスコミが取り上げている博士論文について、小保方氏が「下書き段階のもの」と説明したという一部報道について、理研側は会見時点では未確認とした。調査委は早大から博士論文の正本を提供されているという。
調査委はさらに調べを進め、最終報告をまとめる。不正が認められた場合、理研の規定にもとづき厳正に処分を行うとしている。また、調査が終わり次第、研究者本人による記者会見も開く意向だ。
最終報告をまとめるには「関係する実験ノートや書類、サンプルの写真含めて生データを取り寄せて解析する必要があり、ある程度の時間かかる」(石井氏)とし、時期のめどなどは示さなかった。
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