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「やめといたら?」と言われたが、出してみると大反響 DeNAの“オタク情報”専門アプリ「ハッカドール」が目指す未来(3/4 ページ)

» 2014年10月10日 13時22分 公開
[岡田有花,ITmedia]

アプリ名は「社内から大反対」

画像 ハッカドール1〜3号

 アプリ名「ハッカドール」は、「情報収集が捗る」「コンテンツ消費が捗る」という意味で付けたが、社内からは大反対にあったという。「捗る」ネットスラングが“非オタク”の社員には通じず、マーケティング担当者からは「『オタクニュースX』みたいな名前にましょう」と言われたそうだ。「そうなっていたらこのアプリの運命はかなり変わっていたでしょうね(笑)」

 ハッカドールという名の美少女のキャラが生まれたのは、アプリ名を決めた後。「ドール」の響きが「女の子っぽい」と感じたことと、アプリの使い始めは学習量が少ないためリコメンドの精度が低いが、「ちょっと“おポンチ”な女の子が時々間違える」という設定ならズレた記事でもユーザーにも受け入れられやすいだろうと考え、「ハッカドールという名の美少女キャラがニュースを探してくる」という設定にした。

 「どうせキャラを作るなら、アニメも作ってしまおう」と、アニメ制作会社・トリガーに勤める知人に連絡。キャラクターデザインとプロモーションビデオ(PV)制作の約束を取り付けた。

動画が取得できませんでした

 アプリが扱うジャンルはアニメ、ゲーム、ラノベ、声優、特撮、コスプレ、BLなどと幅広いため、キャラは「1号」「2号」「3号」と3人作り、それぞれでジャンルを分担させた。「最初は5人の案をトリガーに持って行ったんですが、こんな短い尺(PVは1分55秒)で5人も出したら破たんするとアニメ監督に怒られた」ため、3人にとどめたという。

「薄い本OK」の意図

画像 ハッカドールの公式サイトに表示された同人マーク(右下)

 ハッカドールの公式サイトには「同人マーク」を表示。自作品を基にした2次創作同人誌(いわゆる「薄い本」)の配布を認めることを著作権者が示すマークで、「IT企業初の同人マーク採用では」と話題になった。

 同人マークを付けたのは「軽い気持ち」だったと岩朝さんは言う。「同人作家や人々に盛り上げてもらうことがハッカドールの世界観の育成に大事」――公式で2次創作を認め、ルールを定めることで、安心して同人活動を楽しんでもらいたいという。

公開直後から大反響 キャラ人気は「想定外」

 8月15日。夏コミ当日に「ハッカドール」のアプリとPVを公開すると、大きな反響を読んだ。アプリの使いやすさや、ハッカドール1〜3号のかわいらしさ、トリガーが手がけたPVの質の高さに加え、「DeNAがこんなアプリを作るなんて」など、会社のイメージとのギャップに驚く声も多かった

 ダウンロード数は公開から2カ月足らずで「数十万の前半」。中心は20〜30代のコアなオタク男性で、ほとんどマーケティングを行わずに獲得したという。

 キャラの人気は「想定外」だったという。グッズ化の依頼が寄せられたり、自社・他社のゲームとのコラボレーションが決まったり、声を当てているアイドル声優のライブが盛り上がるなど、ニュースアプリの枠を超え、ハッカドール1〜3号が活躍。「サービスとしてもキャラクターとしても、オープンに育てていきたい」と岩朝さんは意気込む。


画像画像 9月の「東京ゲームショウ」で盛り上がった「ハッカドール」声優のライブイベント

ビジネスは「良くてトントン」 目標は武道館ライブ!?

 「ハッカドール」のビジネスモデルは、2つの可能性を検討している。1つは広告掲載や関連アプリへの送客などトラフィックを活用したビジネス。もう1つはアプリ内での物販だ。

 「ハッカドール」には、通販サイト「TSUTAYAオンラインショッピング」で販売している商品情報を、ユーザーの好みに合わせて提供する仕組みを実装。「関連商品の購入までワンストップで行える仕組みが作れれば、コンテンツの消費は捗る。そこで何らかの利益を得ても良いのでは」

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