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セリフなしでも躍動感! “どやかわ”ドット絵「こねこ」スタンプクリエイターズ・ファイル

» 2015年02月16日 11時00分 公開
[山崎春奈ITmedia]
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クリエイターファイル vol.13

クリエイター:BAN-8KU

Webサイト:BAN-8KU

Twitter:@ban8ku

 マーケットが始まった当初、ゆるい感じのイラストスタンプが多く、ドット絵のスタンプは確実に目を引くと思ったのがきっかけでした。最初に「ことり」を制作し、ドット絵での制作のコツがつかめたところで大好きなねこのモチーフに挑戦しました。昔実家で11匹飼っていたこともある、極度の猫好きなのです。

 普段の仕事と異なり、本当に好きなものだけを詰め込んでストレス発散の気持ちで自由きままに作っていったので、コンセプトというほど大それた考えはなかったのですが、できるだけ台詞を少なくして、1つのスタンプをさまざまなシチュエーションで利用できるものにしました。スタンプだけで完結せず、コメントに対する挿絵のようなイメージです。

photo シリーズ「こねこ(箱から出てくる)」

 こだわったのは猫の大きさと、1ドットあたりの大きさ。少ないドット数のほうがキャラはかわいく見えるので、余分なピクセルを削って削って今のサイズになりました。当初は2周りほど大きく、こねこというより親猫でした(笑)。あまりドットを細かくしすぎてしまうと、普通のイラストと変わらなくなってしまうので、一目でドット絵だと認識できるサイズにしています。ドット絵の場合、表現の範囲が狭く動きが制限されがちですが、猫の躍動感をできるだけ伝わるスタンプにしたいと思い、表情や形の調整には時間をかけました。審査を考慮して、既存のゲームキャラクターには極力似ないデザインにしています。

 気の利いた台詞は思いつかないけれどちょっと気にかけてもらいたい時に使うと、ウザかわいい感じで相手の気を引けるんじゃないでしょうか。セリフがほとんどない無言の猫なので、コメントの後に添えると哀愁が漂って愉快です。文字だけだとちょっとキツくなる内容も、ねこが言うとやわらかい印象になります。ただただお互い、こねこを送りあうのも楽しいです。

海外ユーザーにも届いた手応え

 制作は、まずは紙に手書きでラフ画を書いてイメージをかため、Photoshopを使ってドットを打っていきます。画面を6400%まで拡大してマウスで一点一点打つという原始的な方法です。そのままだと実際には見えない米粒のような画像なので、シリーズによって800%〜1200%の間で拡大してLINEスタンプの規定のサイズで見れるように調整しています。

 統計をみると、日本以外でも、台湾や韓国、アメリカなどで利用されているようでうれしいです。ドット絵は「pixel art」というジャンルで海外にも根強いファンがいるので、気に入ってもらいたいという狙いもありました。イラストだと国によって好まれるテイストが大きく変わるのですが、ドット絵に関してはゲームがベースになっているので、極端に好みが変わらないと思います。日本でかわいい! と思ってもらえるドット絵はきっと海外でも同じ評価じゃないかなぁ……と。具体的なセリフがほとんど入っていない事も、海外でも使ってもらえた要因ではないかと思います。

 Twitterを中心に告知をしていたのですが、そのリツイート数によって販売数が大きく変わりました。多く拡散されればそれだけマッチする人にあたる率も増えるので、いかに外部の媒体を利用してスタンプを知ってもらうかが重要だと感じました。「ねこ」で検索だと出てくるまで相当かかりますが「ドット絵」での検索だと数ページ以内に表示されます。検索で引っかかりやすいワードをいくつか説明文に入れて、見つけやすくすることは大事だと思います。

デジタルイラストの新たなマーケットに

 スタンプはディスプレイでのRGB表示のため、印刷物と違ってビビットな色も使えるところも作り手として嬉しいです。デジタルデータは、使いどころという部分でなかなか販売が難しかったのですが、音楽の配信やアプリが盛り上がっているように、イラストレーターやデザイナーが活躍できる強力なマーケットができたことに魅力を感じます。学生の頃にこういったサービスがあったら部活にもいかず、夢中で作っていたんじゃないかな。もっともっとおもしろいスタンプを作っていきたいです。

 現在、くまのスタンプと宝箱のスタンプを申請中です。先日「お面」というスタンプを作ったのですが、その中にいたくまが好評だったので、それをベースに作る予定です。これ自体は一部のコアな層以外あまり人気がありませんでした……個人的にものすごく力を入れたのですが……。BAN-8KUではアート作品としてもドット絵を制作しておりそちらにも興味を持っていただけるとうれしいです、「お面」も同タイトルの作品も制作し、ギャラリー龍屋にて展示をしていました。スタンプと連動した作品といったものも今後増やしていきたいですね。

 こねこのシリーズとしては「野生の血に目覚めたこねこ」、模様のバリエーションを増やしたタイプなどを考えています。形や表情は個人的にも気に入っていて見る度に癒やされています。A4サイズのキャンパスバッグやティッシュなどのグッズも制作しました。売り上げを予算としてもっと遊んでいきたいです。

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※ 2月20日(金)「ITmedia ニュース 読者感謝祭」に「BAN-8KU」さんの出展が決定! 「こねこ」などのドット絵グッズを会場で購入できます。

ITmedia ニュース 11th Anniversary 読者感謝祭

日時:2月20日(金) 午後6時〜

場所:ニコニコ本社

チケット:1500円(入場時に別途ドリンク代500円をいただきます)

イベント詳細とチケット購入はこちらから

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お気に入りはコレ!

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 「こねこ(箱から出てくる)」の1つ、段ボールの端をおもむろに破って飛び出ているこねこです。ねこって意味もなく無茶な事をして、どうだ! って顔をする時があるんです。どうだって言われても……という変な空気が出せているでしょうか。相手にこのスタンプを突然送ると、同じように困惑させる事ができます。自分勝手なねこスタイルを味わえるところが個人的に気に入ってます。

 とことこ歩いている子や、ビュッと飛んでいる子を互いに連続で使用するのも楽しいですよ。

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