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使えない乾電池は「バウンドするから分かる」は間違い まだ残量ありかも──米研究

» 2015年04月06日 12時10分 公開
[ITmedia]

 バウンドしても電池を捨てないで──“落としてバウンドしたら残量なし”という、ちまたに出回っている「残量のない乾電池の見分け方」は正確ではない、という研究結果を米プリンストン大学が発表した。バウンドしても半分残っている場合もあり、「未使用かどうか見分ける役にしか立たない」という。

 “使えない乾電池の見分け方”はネット上の動画などを通じて広まった。机の上などに電池を落とし、バウンドしなかったらOK、バウンドしたら使用済み──というものだ。

動画の1つ

 同大のダニエル・スタインガート准教授らはこれが本当かどうかを調べた。透明な筒の中に10%刻みの残量ごとに電池を落とし、バウンドする高さを調べたところ、残量が半分から残量0まではバウンドする高さが同じだった。

photo 残量70%からバウンドを始め、50%から0%まではほぼ同じ高さだった Shoham Bhadra and Dan Steingart

 そもそもなぜバウンドするのだろうか。研究チームはX線スキャンなどをして調べた。アルカリ乾電池の負極には亜鉛が使われており、電池を使うと亜鉛が酸化亜鉛に変化する化学反応が進む。この時、酸化亜鉛は亜鉛の粒子と粒子の間をつなぐ橋のようになる。この「スプリングのネットワーク」が電池内部に形成されていき、バウンドするようになるのだという。

 これはそれほど驚くべきことではないのだという。ゴルフボールの特許の多くでは、充填剤として酸化亜鉛を使っているからだ。

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