Cerevoは7月28日、Bluetoothと各種センサーを搭載し、プロトタイプ開発から量産まで幅広く活用できるIoT(Internet of Things)製品開発モジュール「BlueNinja」を発表した。直販サイトでの価格は単体で4890円、デバッガ付きブレイクアウトボードを搭載した開発キットが9900円(いずれも税別)。
低電力消費のワイヤレス通信技術「Bluetooth Low Energy」とARM Cortex-M4Fコアを内蔵した東芝のSoC「TZ1001」をベースに、9軸センサー(加速度、角速度、地磁気)と気圧センサー、リチウムイオン電池の充電・放電回路を搭載する。
本体は11(幅)×37.5(奥行)×5.1(高さ)ミリと小指の先程度の小ささで、腕時計型などウェアラブルデバイスにも搭載できるサイズだ。ハードウェア開発者向けブランド「Cerevo Maker series」の第2弾製品となる。
Cerevoの岩佐琢磨代表は、市場にあるハードウェア開発用モジュールはあくまでプロトタイプや電子工作用途であり、スタートアップが量産を目指す段階で利用できなくなることを問題に感じていたという。プロトタイプにも量産時にもシームレスに使え、昨今のトレンドに合った、より小型のモジュールとして開発したのが「BlueNinja」だ。
「ネットをうろうろしていたら偶然出会った」(岩佐代表)という「TZ1001」が低消費電力で小型、Bluetooth 4.0と加速度センサーも内蔵――と、IoT製品やウェアラブルデバイスの開発に適したSoCとほれ込み、東芝に開発キットの開発を打診したという。
「量産を前提にしているが価格競争にさらされやすい大企業、独創的な商品を開発しつつも量産に踏み込みにくい体制のスタートアップ――ハードウェアに関わる大企業とスタートアップの間には考え方や環境の違いがあり、どうしても壁があるように感じる。お互いを理解して市場全体を盛り上げ、ブリッジしていくために、まずはよいモジュールをスタートアップに使ってもらえるようにと思い立った」(岩佐代表)
「BlueNinja」本体の生産はCerevoも入居するハードウェアスタートアップのシェアオフィス「DMM.make AKIBA」の工作室で行い、「秋葉原生まれ、メイドインジャパン」のモジュールとなる。今後、販売だけでなくハッカソンや製品開発コンテストも企画予定だ。
東芝のロジックLSI事業部の松井俊也事業部長附は、今回の取り組みについて「小さく地味なチップではあるが、新しく独創的な製品の一部としてこんな風に使ってもらえるとこちらもやってみたくなるしわくわくする」と歓迎。「ギャップを埋めるというよりつながっていくイメージで、これからもスタートアップや開発者のみなさんと接するチャンスを増やしていきたい」と話している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR