宅配ロッカーをめぐっては、国土交通省が昨年の検討会で整備を提言している。
ネットショッピングの普及に伴い、宅配便の取り扱い個数が増え、不在などによる再配達が増加。同省によると、年間7億個の再配達が発生しており、(1)営業用トラックの年間排出量の1%に相当する年約42万トンの二酸化炭素(CO2)、(2)年間約1.8億時間・年約9万人分の労働力に相当する“社会的損失”を生んでいるという。
こうした背景からヤマト運輸は14年、フランスで「オープン型宅配ロッカー」の運用実績があるネオポストと協業の交渉をスタート。アジア圏への市場拡大を目指すネオポストの狙いと一致し、合弁会社の設立に至った。
ヤマト運輸の長尾裕社長は「AirbnbやUberなどの“シェア”の概念に注目し、オープン型宅配ロッカーの構想につながった」と話す。「流通・物流各社の単独の取り組みには限界がある」(長尾社長)と指摘し、複数社が共同で使う「オープン型」のインフラ整備を進めたい考えだ。
より配送業者に参加してもらうため、ヤマト運輸が実証実験で得たデータも活用。不在件数が多い地域を中心に、オフィスや学校など、受け取り場所を増やす方針だ。ヤマトホールディングスの山内雅喜社長は「業界の垣根を超えた連携が解決につながる。その一翼を担う取り組みになれば」と期待を寄せた。
左から、ヤマトホールディングスの山内雅喜社長、ヤマト運輸の長尾裕社長、Packcity Japanの阿部珠樹副社長、ジャン・ロラン・リュケ社長、ネオポストシッピングのアラン・フェラ社長、ネオポストのドゥニ・ティエリ社長
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