――千秋楽は超満員、フィナーレは客席総立ちでした。獅童さんも「声出せ! 踊れ!」ってロックバンドのように客席をあおって。
獅童さん、駆け回っていてうらやましかったです。青龍のこしらえ(衣装)ではさすがに飛んだり跳ねたりできないので(笑)。こんなカーテンコール、普段はないですし、この気持ちの高まりをなんとか表現したくて、いろいろ考えて……毛があるじゃん! と。長い髪を片手に持って、タオルを回すようにぐるぐる回していました。「湘南乃風」かな? という(笑)。その後さらにテンション上がって“毛振り”も……千秋楽だからいいかなと思って張り切りました。
総立ちの会場を染めるピンク色のサイリウムもきれいでした。自分もあちら側にいたかったな、と思うくらい幸せな光景でした。一緒に盛り上がりたかったです。
――コメントならではの大向う風の遊びも面白かったです。技術協力のNTTに向けた「電話屋」、狐忠信が登場すると「もふもふ屋」……「本屋」は最初何のことかと思いました。
「紀伊国屋」なので「本屋」ですね(笑)。僕も「本屋で覚えてください」とネタにしていることもあるのですが、知らずに書いてくださっていた人も多かったのではないでしょうか。
――初めて観る人と歌舞伎ファンの間で、質問・解説のやり取りが行われていたのも印象的でした。
青龍のあれ(※)が自撮り棒に見えるとはね……。そう言われたらそうだなぁ、と感動しました。Twitterではイラストで図解してくださってる人もいました。<※鉄杖(てつじょう):鬼や妖怪など人外の悪役が持つ定番のアイテム>
あれは何? これはどういう意味? と、普段から歌舞伎のことばかり考えている僕らからしたら当たり前のことを興味津々で見てくださることがすごく面白かった。初めて観る人には当然分からないことがたくさんあったと思いますが、その探究心、好奇心、目の鋭さがあれば、歌舞伎の世界をこれからもっと楽しんでもらえると思います。
劇場では公演中に喋ることはできないし、そもそも「こんなこと聞いたらバカにされるかな?」と躊躇してしまうかもしれない。黙っていても、観ている人の胸には常に疑問や感想が渦巻いているんですよね。気になったことを素直にその場で気軽に聞けて、すぐに教えてもらえるニコニコ生放送やTwitterは素晴らしい場所だと思いました。
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