「Pokemon GO」を活用した町おこしの取り組みが各地で始まっている。鳥取県は、ポケモンが多数現れる鳥取砂丘をゲームの「解放区」にすると宣言。大阪府内の商店街では、ポケモン出現率をアップさせるアイテムを使った集客が成功を収めている。
位置情報ゲームを使った町おこしの取り組みは、Pokemon GO以前にも行われてきた。岩手県はその先進例だ。県は、Pokemon GOのベースとなったゲーム「Ingress」を自治体で初めて活用。「岩手県庁Ingress活用研究会」(現:岩手県庁ゲームノミクス研究会)を2014年に発足させ、Ingressのイベントを行ったり、ゲームを使った観光振興について議論してきた。
Ingressのゲーム内の拠点「ポータル」は、Pokemon GOでも「ポケストップ」や「ジム」に設定されており、Ingressのポータルが多数設定されていた地域は、Pokemon GOが盛り上がる素地を持っている。岩手県がIngress同様、Pokemon GOも観光振興に活用すれば盛り上がりが期待できそうだが……県広報室に取材したところ、Pokemon GOについては「様子を見ている」(県広報室・県庁ゲームノミクス研究会事務局事務局の高家卓矢さん)という。
高家さんは、「IngressもPokemon GOも、人を動かす力を持ったゲームという点は共通している」とみながらも、「岩手県でIngressを活用しようと考えた時と現在のPokemon GOは状況が違い、ゲームの質も違うかなと考えている」という。
違いとは――例えば、Ingressのポータルは、Pokemon GOのポケストップやジムになっているが、その役割は大きく異なる。「Ingressではポータルは、特別な力が集まる場所。歴史的な建造物や地域振興とマッチする世界観があったが、Pokemon GOは性質が違うゲームかなと」(高家さん)。
県内では、東日本大震災で大きな被害を受けた陸前高田市でポータル申請イベントが行われるなど、被災地にもポータルが多数あり、ポケストップも多いとみられる。「Pokemon GOのプレイヤーにも、安全面への配慮など一般的なことを注意してもらいつつ、被災地に足を向けてもらうきっかけになれば」(高家さん)。
11月に盛岡市で開催予定の「全国自治体ゲームコラボレーションフォーラム」では、Pokemon GOも含めたゲームの自治体活用について議論する予定という。
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