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» 2017年01月30日 09時00分 公開

「無料モデル」は難しい 少なくとも「物語」においては(2/5 ページ)

[堀田純司,ITmedia]

無料モデルで破綻した「コミック・ガンボ」

 マンガの場合、まず雑誌で連載を行い、原稿がたまったところで単行本として二次使用するというモデルが成立しています。この分野は、もともと雑誌の発展とともに市場も拡がってきたのですが、やがてその比重は変わり、単行本が出版社の収益の柱となっていく。

 音楽でもファイル単位で好きな曲だけ買う現代、「雑誌買い」をする人は少なくなった。あの「少年ジャンプ」でさえ、人気作品の連載が終了すると雑誌本体の実売が下がってしまったと報じられます。

 現代では多くの雑誌が単体では赤字。しかしそれでも成立するのは単行本の売上で、それをカバーできたためでした。たとえば、2007年にデジマがマンガ雑誌「コミック・ガンボ」を創刊。この雑誌は一部有料会員制も併用していましたが、雑誌本体はフリーペーパーとして無料配布。収益は広告収入と、そして単行本の売上を見込んでいたといいます。

 広告収入で利益が出れば、もちろんいい。しかしそこまで行かずも雑誌の発行コストを確保することさえできれば、あとは単行本で収益を得る。そうした構想だったと感じますが、残念ながらこの雑誌は一年足らず、48号で休刊しています

画像 休刊を発表した07年当時のコミック・ガンボ公式サイト

 単行本を発行しても、流通に載せるのが難しかった。ぶっちゃけ書店の棚を確保できなかったという話を聞きますが、出版社は書店の棚を確保するために、毎月、新刊の刊行を続けている面もあります。それを途切れさせてしまったために「あるレーベルの編集長は責任を感じて体調を崩してしまった」という話もあるくらい、棚の確保は重い。新規参入では、難しかったことでしょう。

デジタルでは可能か?

 では、と、ここで誰もが考えるところですが、デジタルではどうか。印刷と流通のコストがかかる紙の雑誌から、Web公開に切り替えるのはアリかもしれない。

 実際に、2008年にスクウェア・エニックスが「ガンガンONLINE」を開始。月曜木曜の週2回更新でコンテンツを公開。会員登録の必要もなく、読者は無料で読むことができます。Webならではの機動力を活かし、紙の雑誌からの移籍、既存作品のスピンオフ、もちろんWebオリジナル連載、さらには小説も掲載し、2012年には「男子高校生の日常」(紙の雑誌でデビューした後。オンラインで連載された)がアニメ化されるなど、活溌に活動しています。

画像 ガンガンONLINEより

 現在では、同社の試みを追うようにして集英社「となりのヤングジャンプ」、小学館「裏サンデー」など、各社配信サイトが開設。マッグガーデン刊「コミックブレイド」のように、紙の雑誌がオンラインレーベルに移行した例も出てきました。

 また、徳間書店「Webコミックぜにょん」のように、ヤフーブックストア内に開設された後、独自配信に移行したサイトもあります。ちなみにこちら「ぜにょん」では、あの名作をそっくりな絵柄で禁断のギャグマンガにしてしまった「北斗の拳イチゴ味」が100万部を越えるヒットとなり、まさかのアニメ化も実現しています。

画像 コミックぜにょんの「北斗の拳イチゴ味」

 これらサイトでは、広告が入ったり、一部有料制なども併用している例もありますが、基本的には初出無料で公開するのが主流になっています。

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