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利益優先でリスク軽視 医療記事の監修「コスト見合わない」と見送り……DeNAキュレーションサイト問題の背景(3/4 ページ)

» 2017年03月13日 17時00分 公開
[岡田有花ITmedia]

 だが「監修を付けると記事作成に要する工数が多くなり記事数を増やせなくなりコストも想定以上に増える」と判断。「記事の大量生産というモデルにそぐわず、コスト面でも見合わない」と見送り、100本の試作記事の掲載も見送ったという。

 WELQに掲載するのは、医師の監修が不要なライトな記事に限定することにし、医療や薬などに関連する記事を作成する場合は、参照元を、医師などの専門家が監修している記事に限定し、明示的に引用するルールにした。その一方で、執筆マニュアルでは、参照元の記載をそのままコピペすることを禁止していた。このため、参照元の記載を正確に引用せず、ほかの言葉で不適切に言い換えた結果、不正確な内容が公開された可能性があると報告書は指摘している(関連記事:「肩こりは幽霊が原因」 WELQの“トンデモ記事”ができるまで 調査報告書で明らかに)。

 WELQは15年10月に公開。医師の監修については、約1年後の16年9月ごろにようやく検討が開始されれたという。「DeNAは記事内容の正確性より利益を優先させたと非難されることもやむを得ない」と報告書は批判している。

メディアなのに「プラットフォーム」と主張し責任回避

 10サイトは、一般ユーザーが投稿できる機能を備えていたため「プラットフォームである面もあった」が、ユーザー投稿の割合は最多のMERYでも約14.5%にとどまっており、記事作成過程にDeNAがさまざまな形で関わるなど「メディアだったと評価される」と報告書は指摘する。

 メディアが併存していたにも関わらず、外部からの問い合わせに対してはプラットフォームであるかのように対応し、記事に問題があった場合でも、「一般ユーザーによる投稿記事だ」と説明するなど、プロバイダ責任制限法によりDeNAが免責されることを意識した回答を、法務部の助言のもとに行っていた。これについて報告書は「不適切であったと言わざるを得ない」と指摘している。

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