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「今のTwitterは息苦しい」 ドワンゴがマストドンに込める期待マストドンつまみ食い日記(1/2 ページ)

» 2017年05月03日 06時00分 公開
[村上万純ITmedia]

 「今のTwitterは息苦しい。Mastodon(マストドン)はそれに対するアンチテーゼになるのでは」。ドワンゴの栗田穣崇(しげたか)企画開発本部長は、「ニコニコ超会議2017」(4月29〜30日、千葉・幕張メッセ)で、今話題のSNSをこう評した。

ニコニコ 「ニコニコ超会議2017」のマストドンブースに設置されたスクリーン。niconico動画のように、投稿内容が右から左に流れていく

 マストドンは、Twitterライクに使える分散型SNS。ドワンゴも自社インスタンス「friends.nico」を4月19日に立ち上げ、続けてiOSアプリを公開するなど、早くからその存在に注目してきた。 ニコニコ超会議に「わずか10日ほどでこしらえた」マストドンブースを出展したことからも、その本気度が伺えるだろう。

iOS iOS向けマストドンアプリを公開。Androidアプリも近日公開予定だ

 なぜ、ドワンゴはそれほどマストドンに注力するのか。マストドン担当のキーマンと、同社への入社が決まっている「mstdn.jp」の管理人ぬるかるさんに話を聞いた。

ドワンゴ 左から山田将輝さん、「mstdn.jp」の管理人ぬるかるさん、江添亮さん。山田さんと江添さんはマストドン担当のエンジニアだ

マストドンに目をつけた理由

 画像SNSのpixivもいち早く企業インスタンス「Pawoo」を立ち上げたが、ドワンゴもすぐ後に続いた。ドワンゴのマストドン担当者は現在4名ほどで、メインプログラマーの1人である山田将輝さんはニコニコ静画(電子書籍)チームに所属するなど、基本的に他の業務と兼務しながら開発している状況だという。

 栗田氏は「10月にniconico新バージョンの提供を控えているものの、ここ数年は新しいことができていないという意識がありました。マストドン自体への可能性も感じつつ、ドワンゴとして新しいことをやっていくぞという姿勢を見せたいというのもありました」と胸中を明かした。

く 10月に提供する、動画サービス「niconico」の新バージョン 「く」(クレッシェンド)

「Twitterに感じる息苦しさ」へのアンチテーゼ

 見た目のユーザーインタフェースや機能が似ているためか、しばしばマストドンはTwitterと比較される。

マストドン 「mstdn.jp」の画面。Twitterの公式クライアント「TweetDeck」に似ている

 「1社独占でクローズドなTwitterに息苦しさを感じる人は多い。それへのアンチテーゼとして、分散型のマストドンに注目しました。そもそも思想・設計的に分散しないとスケールしないサービスですよね」(栗田さん)。

 Twitterのように「ヒエラルキー化」しない所も、気に入っているという。例えば、Twitterでいう「いいね」やリツイートの数が数値化されないため、「いいねやリツイートを稼ぐために投稿する」といった競争が起こりにくい。また、フォロワー数を増やすこと自体にもあまり意味がない。

 オタク女子向けインスタンス「otajodon」の管理人インタビューでは、「昔の同人サイトのチャットのような、牧歌的でアットホームな雰囲気」と表現したが、friends.nicoも思いの外平和な空気だという。

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