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「個人開発者は“孤独な開発者”になってはいけない」――ヒットアプリ作者が語る“レッドオーシャンの泳ぎ方”Unite 2017 Tokyo(4/4 ページ)

» 2017年05月11日 07時00分 公開
[片渕陽平ITmedia]
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「孤独な開発者になってはいけない」

 効果を上げるもう1つの方法は「コラボレーション」だ。「企画を練ったり、絵を描いたり、プログラムを組んだり、宣伝したりを全て1人で高いクオリティーでやろうとしても、そう簡単ではない」(和尚さん)。ゲーム開発者が集まるイベント「BitSummit」「Tokyo Indie Fest」「デジゲー博」などに参加して、仲間を探すという。

 ただ「『人に頼ること』だと勘違いしてはいけない」とも。「才能の等価交換」の意識は持っておくべきという。「個人開発者ほど、孤独な開発者になってはいけない。1人で作っているからこそ、続けるためには仲間がいたほうがよい」。

 コラボは開発者同士だけではない。キャラクターなど人気IP(知的財産)とコラボすれば、より多くのユーザーにゲームを知ってもらえたり、ヒット作をコラボバージョンに作り変えて横展開したりできるチャンスがある。

 「どうやって許可を取るのかというと、オープンにコラボ相手を募集している企業は意外と多い」。バンダイナムコやブシロードのほか、「宇宙兄弟」「あらいぐまラスカル」など作品単位で募集している場合もある。「遠慮をしている場合ではない。自分が作ったゲームで、そうしたキャラが動いているとテンションが上がるはず」(和尚さん)。

photo 和尚さんは、お笑い芸人の江頭2:50さんとコラボしている

個人ゲームの世界は「現代のトキワ荘」

 和尚さんは「『ここまで述べたアドバイスを、全部やりましょう』と言っているわけではない」とも話す。「伝えたいのは、さまざまな方法があるということ。自分のスタイルに合うものを無理なく取り入れてほしい」という。

 「ちょっと前まではゲームを作って生計を立てるには、ゲーム会社に入る以外の選択肢はなかった。だが、Unityなどゲームエンジンの登場で、個人でも制作に挑戦しやすい環境が整いつつある。AppStoreなど、個人が作ったゲームを世界に発信できる場が生まれたことも大きい」(和尚さん)

photo 仲間と切磋琢磨

 和尚さんは、そうした環境下で、個人の「ゲーム作家」が続々と誕生している状況を「現代のトキワ荘」と評する。「互いに切磋琢磨しながら、時にライバル、時に仲間として歩めればよい。続く世代の若者のために『ゲーム作家』という生き方を確立することが、私たちの世代に課された使命。そのためにもゲームを作り続けたい」。

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