既報の通り、東芝は5月15日に2016年度の通期決算の「見通し」を発表した。決算速報を通常の「決算短信」という形で公表しなかったのは「監査法人との関係悪化防止」と「投資家への情報提供」を鑑みた結果であると思われる。
本件の説明会において、同社の網川智社長は「上場廃止」や「法的整理」の選択肢について記者から問われ、いずれも否定した。
そもそも「上場廃止」や「法的整理」とはどのようなものなのだろうか。
「上場廃止」は証券取引所における株式の取り扱いを廃止(終了)することだ。
証券取引所はそれぞれ「上場廃止基準」を設けている。上場企業がこれに抵触した場合、証券取引所は上場廃止を検討する(抵触項目によっては廃止を即時決定する)。廃止が相当と判断された場合、一定の整理(売買可能)期間を経て、その企業の株式は証券取引所から姿を消す。
主な上場廃止基準には以下のものがある。
「不適当な合併」は、非上場企業側が上場のための手続きやその審査を回避するために上場企業と合併する行為を指す。
存続会社が上場企業、消滅会社が非上場企業という形式で吸収合併を行った場合、通常は存続会社の株式上場は維持される。しかし、証券取引所がその合併を「不適当な合併」と判断した場合は、上場を維持するか廃止するかの審査を行うことがある。
上場廃止となった株式は証券取引所や証券会社で売買できなくなる。そのため、株主や投資家にとっては大きな不利益となる。また、当該企業にとっても資金を調達する手段方法が減るという大きなデメリットがある。
一見すると良いことがないように見える上場廃止。しかし、企業によっては自ら上場廃止を決定する場合もある。その主な理由としては以下のようなものがある。
これらのケースでは、一般に企業価値を向上する意図で行うことが多い。また、既存の株主・投資家の利益を損なわないよう、法律などが定めるルールに基づいて手続きが進められる。
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