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最近のクルマ、顔つきが“反抗期”っぽいのはなぜ? カーデザインのプロに理由を聞いた新連載・クルマの未来はIoT(3/3 ページ)

» 2017年06月13日 08時00分 公開
[山口恵祐ITmedia]
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これからの車に適したカーデザイン

──電気自動車や自動運転車といった新しい時代の車に適したカーデザインはあるのでしょうか

内藤 既に発売している100%電気自動車の「テスラ」は、ガソリン車と大きく形が変わりません。“あえて変えない”戦略らしいです。電気自動車はエンジンを冷やすための吸気口は必要ないはずですが、ガソリン車と同じ場所にそれっぽいものが付いています。

photo 米Tesla Motors(テスラ)の「モデルS」。エンジンを冷やす必要はないが、吸気口の役割を果たすフロントグリルの意匠が残されている

──日産「ノート」の電気自動車モデル「e-POWER」もガソリン車と同じデザインで登場しました

photo 日産ノート e-POWER(日産自動車Webサイトより引用

 ノートも売れ筋の車です。形を大きく変えて「ノートの新型です」というよりは、パワーユニットを変えて「見た目はそのまま」のほうが売れる。

 全く違う形にしてしまうと市場に受け入れられないのです。だから、あえてクルマらしい形にしていると聞いたことがあります。これから徐々に変化していくはずです。

──少し話はずれますが、「21世紀に間に合いました」のCMが印象的だったトヨタの初代ハイブリッドカー「プリウス」(1997年)が登場したときは、すごく変わったデザインだと感じました

photo トヨタ初代「プリウス」(GAZOO.comより引用

内藤 (当時、ユニークに見せたデザインは)ハイブリッドカーのアイコンとして認知させたい部分はあったのでしょう。「これぐらいならおじさんたちにも買ってもらえるだろうか」──カーデザイナーは一生懸命バランスを考えたはずです。

photo ちなみに最新の第4世代「プリウス」は、こんなデザインになっている。反抗期で「がおー!」どころではない。鋭い

坂口 自分の体よりも大きなものをデザインするのはとても難しくて、経験を積まないとできない。車はしんどいのです。ただ、昔と比べたらデザイナーと技術者たちのつながりがすごく強くなりました。昔はデザインといったら外形の皮、衣装だけだった。デザイナーの役割が理解されていなかったのです。

 デザイナーの役割は、技術を人類が望んでいるものに近づける。お客さんと、車を作る技術側の間に入るものなのです。

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